トランプ関税の夢は、ハイテク製造業を米国に連れてくることだ。現実には、ばかげたほど値段の高いiPhone(アイフォーン)がやって来るかもしれない。アップルの屋台骨を支えるスマートフォンは、グローバルなパッチワークでできている。部品は世界中から調達されるが、過去数十年の間に電子機器製造が完成の域に達した中国が主な供給国だ。組み立て工程だけを米国に移すとしても、安くはないし、簡単でもない。iPhone 16 Proを見てみよう。ストレージ容量が256GBの場合、現在の価格は1100ドル(約16万円)だ。主要製品を分解・分析する業界調査会社テックインサイツのリサーチ・アナリスト、ウェイン・ラム氏によれば、この機種が発売されたとき、内部のすべてのハードウエア、つまりアップルが支払う部品のコストは約550ドルだった。組み立てと試験を加えると、コストは約580ドルに上昇する。アップルの広告予算や、iMessage、iCloudなどの付属サービスを含めても、まだ健全な利益幅がある。