米株急落時、押し目買いで立ち向かう投資家Photo:Bloomberg/gettyimages

 8日の米株式相場は取引開始時の大幅上昇から午後には一転してマイナス圏に落ち込み、押し目買いに踏み切っていた投資家は歴史的などんでん返しに見舞われた。

 ドナルド・トランプ米大統領が仕掛けた貿易戦争の経済的打撃が交渉によって抑えられるとの期待から、8日の主要株価指数は当初急伸し、ダウ工業株30種平均は序盤の取引で約1400ドル上昇した。午後に入ると株価は下げに転じ、ダウ平均は約320ドル下落した。ナスダック総合指数は4.6%高から2.1%安まで下げ、吹き飛んだ上昇分はここ40年余りで最大となった。

 この反転は、貿易のディールが生まれる可能性があるとのスコット・ベッセント米財務長官の発言で株価が上昇した後に起き、この日は打ちのめされた投資家に安心感がもたらされるとの望みに終止符を打った。また、新型コロナウイルスショックやシリコンバレー銀行の破綻時など、近年起きた株価急落局面からの迅速な回復に寄与した投資戦略に疑問を投げ掛けた。株が下がったら買い、という戦略だ。

 一般の投資家からビットコインの投機筋までさまざまな人がこの戦略を支持しており、彼らは経済成長や企業利益への打撃がしばらくは株価の重荷になる可能性があるとのウォール街からの警告に逆らっている。「他人が恐れているときに強欲になれ」との著名投資家ウォーレン・バフェット氏の助言を引き合いに出す人や、計算は単純であり、十分な時間が与えられれば株価は通常上昇すると言う人もいる。