「真面目に仕事をしているのに、なぜか上司に評価されない…!」
あなたも、自分より能力が低い人がなぜか上司から高く評価されていて、イラッとした経験があるはず。ではこのような「なぜか評価される人」の“戦略”を、あなたは知っているだろうか。『雑用は上司の隣でやりなさい』は「周りに実力を“評価させる”戦略」を初めて言語化したロングセラーだ。発売直後から賛否両論を巻き起こし、「よくぞ言ってくれた」「暗黙知が“言語化”されている」「今まで気づいていなかった“新事実”」など大反響が集まっている。そんな「職場で実力を適切にアピールする“見せ方”の技術」をまとめた本書の中から「出世する人/しない人の特徴」についてお伝えする。

職場で上司に「いいんじゃない」と言われたら…出世しない人は「喜ぶ」。出世する人はどうする?Photo: Adobe Stock

上司の「いいんじゃない」をそのまま信じる社員は出世しない

あなたは上司と最も良好な関係を築けていると言いきれますか?

僕が勤めるメガバンクでは、最近の上司と部下の関係に変化を感じています。僕がメガバンクに入行したリーマンショック前後の時代は、上司は非常に恐ろしい存在で、常に不機嫌で雑談で話しかけるなんてもってのほかというレベルの体育会系でした。
今では上司には優しい人が増え、気軽に相談事や世間話をすることができる関係になりました。

これだけ聞くととてもいい職場環境になったと考えがちですが、そうとは言い切れない部分もあります。上司と部下がよりフラットになったことによって、上司が部下に強く言いづらい環境になっています。
その結果、上司からすると部下にアドバイスやダメ出しをしているにもかかわらず、部下側には全く刺さっていないことも散見されます。

今回は、そんな部下になってしまわないように、上司の「いいんじゃない」を真に受けないためのテクニックをお伝えします。

「部下指導」よりも、「辞めさせない」

まずは、上司がなぜそのように変わってしまったのかを考えてみましょう。これは、雇用環境の変化が最も大きく影響していると考えられます。昔は、就職氷河期などもあって採用する側と採用される側どちらが立場が上かと言うと採用する側、つまり企業側が強い時代でした。加えて、転職マーケットも市場が未発達でした。

その結果、若手の従業員は代わりがいくらでもいる時代で、かつ、転職先は見つかりにくいという世界でした。この環境では若手はどこまでボロクソ言われても辞めることはできませんでした。

今の時代はどうでしょうか。企業は初任給を30万にして学生を取り合う時代です。やっと取れた新人も転職先の選択肢がいくらでもあるまさに売り手市場にあります。
つまり、叩きすぎるとすぐ辞めてしまう世界になっているのです。

今の時代、上司に求められていることは、部下を成長させることよりも、部下を辞めさせないことです。熱心に指導した結果、部下が辛くて辞めてしまうようなら、やんわりと指導しながら続けてもらった方が得策なわけです。

「肯定的なコメント」以外を聞くようにする

このような状況で部下と上司が会話したらどうなるかというと、上司はどんなに使えない部下であっても、優しく接するしかないです。もし、その部下にやんわりと注意するにしても、上司からまずは「いいんじゃない」などの肯定的なコメントから始まる形になります。

あなたが誰かの部下で、もし出世をしたいと考えているのであれば、上司の肯定的なコメントは全て排除してから聞いてみる必要があります。上司からのフィードバックを受ける時は、肯定的なコメント以外でどのようなコメントがあったのかだけをメモるようにしてみてください。そこに上司の本音が詰まっています。

これだけパワハラが規制されるようになった状況で、部下を熱血指導するほどやる気に満ち溢れた上司はなかなか存在しません。もし、あなたが上司と非常に良好な関係を築けていると感じているのであれば、要注意です。ぜひ、一度上司との会話を振り返ってみてください。

(本記事は『雑用は上司の隣でやりなさい』に関する書き下ろし原稿です)