
松嶋菜々子は登美子を
どのように捉えて演じているのか?
では今日は、「2人共おなかを痛めて産んだ子なのに」と、千尋と嵩が自分の思うようにならないことを嘆く登美子を演じている松嶋菜々子のコメントを紹介しよう。
松嶋は「子どもへの愛情がありながらも、自分の人生に迷いがあったり、葛藤を抱えていたり……。演じる上では、そうした心の揺れを理解することが大切だと感じています」と語っている。子どもへの想いと自分の人生とがシーソーのようにギッコンバッタン上下しているのであろう。
――今回、北村さん演じる嵩の母親役ですが、松嶋さんは登美子という人物を、どう捉えて演じていますか?
(松嶋菜々子さん)北村さんの母親役は2度目なのですが、今回はまた違った性格の母親なので、ご一緒できるのが楽しみでした。北村さんはすごく落ち着いていて、どっしり構えている方で。本当にこんな息子がいたらいいのになぁと思っています。
登美子は、発想が少し独特なのかなと思います。子どもへの愛情がありながらも、自分の人生に迷いがあったり、葛藤を抱えていたり……。演じる上では、そうした心の揺れを理解することが大切だと感じています。
実際、嵩のモデルであるやなせさんの母親も、息子たちを残して姿を消したと聞きました。そうした複雑な背景を持ちながら“アンパンマン”という作品を生み出したやなせさんにとって、母親は影響力のある存在であり、発想の源だったのだろうなと。
登美子の突然現れては周囲を振り回し、またいなくなってしまうという設定だけをとるとどこか冷たく感じるかもしれません。けれど、嵩に対しては母親の愛情をきちんと伝えられるよう、丁寧に演じていきたいと思っています。
――第2週では、出て行った登美子の元へ、嵩が会いに行くシーンがありました。
どういう塩梅で演じようか迷った部分ではありました。スタッフの方たちとは、夫である清(二宮和也)さんを早くに亡くしたことで、ぽっかりと空いた穴を埋められず、それを埋めるための愛情を求めているのではないか、だから自分のことで精一杯なんじゃないかとお話しして。
とはいえ、時代的にも、より子どもが幸せになるのであれば、置いていくことも子どもたちにとっては最良の選択であり、そこになじんでほしかったからずっと連絡を取らなかったんじゃないかとか。いろいろ想像しながら臨みましたね。