黙って家を出る登美子
「1年なんて待てないわ」

 ひじょうに空気の悪いところ、ヤムがあんぱん代を40銭、請求しようとする。それを慌てて止めるのぶ。ヤムとのぶのやりとりのリズムが良かった。この感じがちょいちょいあると楽しい気がする。

 登美子は黙って家を出る。追いかける嵩。1年浪人することを寛に許してもらったと言うが、登美子は「1年なんて待てないわ」とつれない。

 嵩はまた、母親の背中を見送ることになった。

「僕ってなんのために生きているんだろう」

 こればっかり考えている彼は孤独を抱えて川辺に佇み、ヤムに問いかける。

 ヤムは「ひとりぼっちも気楽でいい」と言い、「どうせ1回こっきりの人生だよ。自分のために生きろ」と励ます。彼もまた名言メーカー。

 その夕方、嵩は行方をくらました。

 千尋が心配して朝田家を訪ね、千尋、のぶ、ヤム、寛が探し回る。時計は0時を回ってしまう。ヤムの記憶を頼りに線路沿いを探すと、嵩がレールに頭を乗せて眠っていた。彼の孤独を癒やせるのは、ひんやりしたレールから響いてくる列車の音なのだ。

「嵩のどあほ!」。のぶはいままで見せたことのないような激しい哀しみを見せる。

「母さんひとり笑顔にできんかった」と絶望する嵩。

 そうしていたら、朝日が昇ってきた。深夜0時になったあと、のぶたちが駅に着いたのが何時頃で、線路についたのが朝方? いったい何時間探していたのか時間の流れや御免与町内の距離感がよくわからないがまあいい。新学期がはじまる前の夜だとまだ寒い気がするがそれもまあいい。

 寛が「泣いても笑うても日はまた昇る」と言ったあとの「絶望の隣はにゃあ……希望じゃ」であった。

 受験問題は一段落。来週・第5週はのぶの師範学校生活がはじまるようだ。学校の教師・黒井雪子(瀧内公美)が3回続けて印象的にちょっとだけ出てきて、なにかあるのをひたすら匂わせている。