
日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第19回(2025年4月24日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)
「朝ドラ受け」でも話題
出し惜しみしない第19回
「ほんと『あんぱん』は出し惜しまないね」
『あさイチ』で博多大吉が朝ドラ受け。
朝ドラ受けとは、朝ドラのあとの番組がいま見た朝ドラの感想を述べることで、『ゲゲゲの女房』(2010年度前期)の頃、井ノ原快彦が朝ドラの感想を述べるようになって、そこから習慣化されたと言われている。
はじまった当初は、朝ドラを見ていない人もいるのに内輪ウケという意見もあったが、当時NHKアナウンサーだった有働由美子と井ノ原、そして当時解説委員だった柳澤秀夫との掛け合いがひじょうにバランスよく、13年『あまちゃん』から火がついた朝ドラブームのはじまりと共に、朝ドラ受けも盛り上がった。
有働と井ノ原が応援目線、柳澤が客観的にツッコむのが基本スタイルをとったことで、様々な視聴者の気持ちをフォローしていたのである。
3人が番組を卒業してからも、朝ドラ受けはあたかも必須業務のように引き継がれ、博多華丸・大吉が歴代アナウンサーと共に行うそれは、先代の3人とはまた違った、お笑い芸人の話芸的な独特の間合いや、じわりと印象に残るワードなどによるおもしろさがあり、ネットニュースで取り上げられることも多く、人気を博している。
朝ドラと切っても切り離せない「朝ドラ受け」で語られた「何を出し惜しまないのか」というのは、受験の合否であった。