チキンマックナゲットに「4つの形」があるワケ

チキンマックナゲットの主原料は、鶏のムネ肉である。ムネ肉は脂質が少なく、筋繊維が比較的均質であるため、成形加工との相性がよく、味付け・揚げ調理との親和性が高い。
マクドナルドにおいては、鶏の胸肉をミンチ状にしたうえで、バッター(衣液)とブレッダー(粉衣)で包み込み、加熱・冷凍した状態で各店舗に納入している。この工程により、サクサク感とジューシーさを両立させた食感が生まれる。
ほとんどの人は気づいていないが、実は、チキンマックナゲットには4種類の形状がある。鶏肉のミンチからつくられるので、どんな形にもできるし、1種類だけにすることもできるのだが、あえて4種類を提供し、しかも名前が付けられている。
それぞれ「ベル」「ボール」「ブーツ」「ボーン」と名付けられている。これらの形状は、工業的な製造ライン上での整列効率と熱の通りやすさを考慮した設計でありながら、価値創造にも寄与している。
とくに「ブーツ」と呼ばれる形状は、ソースへのディップがしやすい先端形状を持ち、食べやすさと機能性が意識された設計である。
「ベル」や「ボーン」はシルエットに抑揚があり、食感に差を生むよう断面積が調整されている。こうした設計により、同じ素材・同じ加熱工程であっても、噛みごたえや舌触りに微妙な差異が生じるのだ。
すべて同じ形だと工業製品のような印象が強まるが、4種に成型することで消費者の食欲も増進されるのではないだろうか。
日本のチキンマックナゲットは、2014年に中国の上海福喜食品が引き起こした期限切れ食肉スキャンダルに見舞われた過去がある。当時、日本マクドナルドは中国産チキン製品の供給を停止し、代替としてタイなどからの輸入に切り替える措置を発表した。
チキンマックナゲット15ピース割引キャンペーンは、日本マクドナルドにおけるプロモーション体系の中でも異色の構造を持っている。