
ILLUSTRATION: THOMAS R. LECHLEITER/WSJ
十分に認識されていないが、人工知能(AI)の導入によってさまざまな職務や業界で利益を生み出す時間が増え、ビジネスは大きく変わりつつある。企業は、トレーディングと同じように、より多くの市場が1日24時間体制で稼働する世界に順応し始めることが必要だ。
人間の労働者とは異なり、医療やサイバーセキュリティーなどの分野で稼働しているAIエージェントは、ワーク・ライフ・バランスを気にすることはない。疲れることもおなかがすくことも、病気で休むことも、休暇に出掛けることもない。恋に落ちたり、愛が冷めたり、帰宅途中に買い物をしたり、子どもが眠る時に本を読んでやったり、資源ごみを分別したりすることもない。
「AIは従来の時間的・能力的制約を打ち破る自動化を提供し、企業が24時間連続で稼働できるようにすることで、経済を一変させつつある」。セコイア・キャピタルのパートナー、コンスタンティン・ビューラー氏はそう話す。
ビューラー氏はこのテーマ――同氏は「オールウェイズ・オン・エコノミー(常時接続経済)」と呼んでいる――に関する投資理論を構築した。このアイデアが生まれたのは、セコイアと暗号資産(仮想通貨)投資会社のパラダイムが2022年に超高速取引業者シタデル・セキュリティーズに対して行った11億5000万ドル(約1630億円)の投資を手掛けた時だった。同氏は、シタデルがアルゴリズムとAIを金融市場に応用することで、自然と休みなく稼働するようになったことをそれまで以上に理解するようになった。
今後5年から7年の間に経済のさらに広い分野でこれと同じ動きが起きるとビューラー氏はみている。