生成AI 大進化#3Photo:SIphotography/gettyimages

お試しから活用の段階へと入った生成AI。日本の雇用・労働市場にどんな影響を与えるのか。ビッグデータ分析で判明した、生成AIで「仕事を奪われる」&「伸びる」職業を紹介しよう。中には90%超の自動化対象の仕事もある。特集『生成AI 大進化』の#3では、生成AIが日本のさまざまな職業にもたらすインパクトを探る。(ダイヤモンド編集部 小栗正嗣)

今後、日本の就業者の20.9%は
生成AIに仕事を奪われる

 生成AIは日本の雇用、労働市場にどんな影響を与えるか。

 大和総研経済調査部の新田尭之主任研究員は、日本の職業情報データベースを使ったビッグデータ分析を行い、さまざまな職業と生成AIとの関係を「代替グループ」「協働グループ」「その他グループ」の三つに分類している。

 代替グループとは、仕事の主要部分が生成AIに自動化されやすい、将来的に取って代わられやすい職業。日本の就業者の20.9%が該当する。例えば秘書、一般事務員、プログラマー、データ入力作業などがここに入る。

 協働グループとは、生成AIで単純作業を自動化し、より付加価値の高い業務に注力しやすい、いわば協働・補完関係にあるグループ。生成AIを使いこなすことで今後、伸びる職業ともいえる。生成AIをアシスタントのように使って、より複雑な分析、顧客への対応などに注力できるわけだ。管理職や専門職の多くなど、全体の18.1%がここに含まれる。

 その他グループとは、生成AIの影響を受けない、受けたとしてもさほどではないグループで、就業者の61%が該当する。

 どのグループに入るかは、「仕事の自動化対象率だけでなく、分析、対人関係など非定型認識が求められるか、定型的な業務の割合が大きいか小さいか、生成AIが苦手とする責任が求められるかなど、仕事の性質を指標化して判定」(新田氏)されている。

 例えば、同じオフィスにあっても、弁護士は協働グループであるのに対し、その弁護士をサポートするパラリーガルは代替グループに位置付けられる。

 この3分類は、産業別に見てみると意外なほどの濃淡がある。次ページでは、生成AIによって大きな影響を受ける産業はどこか。具体的にはどんな職業が、仕事を奪われる代替グループ、生成AIを使いこなして伸びる協働グループに属するのか。さらに詳しく見てみよう。