「相続対策」が必要とわかっていても、何をどうやればいいのか? どこから手をつければいいのか?わからない人は多いことと思います。『子どもに絶対、迷惑をかけたくない人のための たった5日で相続対策』(ダイヤモンド社刊)を出版した税理士の板倉京さんが、その手順や気を付けるべきポイントを本書より抜粋・編集して解説します。

【要注意!】「子どもがいないから安心」は大間違い! 子なし夫婦を襲う“義兄弟”との泥沼相続Photo: Adobe Stock

元気なうちに始めるのが理想だが……

本書は主に、子どもがいる夫婦を想定し相続対策のポイントについて書いていますが、子どものいない夫婦の相続は、また別の注意が必要です。

法定相続分の考え方を思い出してください。子どもがいない場合、相続人は、配偶者と親、もしくは配偶者と兄弟姉妹、ということになります。

つまり、夫婦の一方が亡くなった場合、何の対策もしていなければ、残された人は義理の親、もしくは義理の兄弟姉妹を相手に遺産をどう分けるかを話し合わなければならないということです。ちょっと想像したくない未来ですよね。

でも、法律で決まっている以上、その日は必ずやってくるのです。

子どものいない夫婦こそ「遺言書」は必須

実際、「亡き夫(妻)の親やきょうだいから、遺産をよこせと言われた」という相談は、多々あります。

他の相続人との関係が悪くなると銀行口座のお金を動かすこともできません。

預貯金仮払い制度」を利用すれば、一定金額を下ろすことはできますが、口座残高×法定相続分×3分の1(最大150万円・金融機関ごと)が限度です。

全額を引き出すためには、誰がどの財産をもらうかが決まるか、法定相続人全員の同意が必要となります。亡き夫(妻)の預金を下ろすだけでも、こんな手間がかかるなんて……涙が出てしまいますよね。

配偶者をこんな恐ろしい未来から守るためにも、子どものいないご夫婦こそお互いに遺言書を残してほしいと思います。

遺言書があれば、遺産の分け方を話し合う必要はありませんし、預金の解約もできます。特に、兄弟姉妹には、遺留分がありませんから、「すべての財産を妻(夫)に相続させる」という遺言書があれば、兄弟姉妹は財産をもらう権利がなくなります。

「財産を残す子どもがいないから相続対策は必要ない」などと思わずしっかり準備していただきたいと思います。

*本記事は、板倉京著『子どもに絶対、迷惑をかけたくない人のための たった5日で相続対策』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成しています。