「相続対策」が必要とわかっていても、何をどうやればいいのか? どこから手をつければいいのか? わからない人は多いことと思います。『子どもに絶対、迷惑をかけたくない人のための たった5日で相続対策』(ダイヤモンド社刊)を出版した税理士の板倉京さんが、その手順や気を付けるべきポイントを本書より抜粋・編集して解説します。
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市販のエンディングノートより普通のノートがよい理由
相続対策は元気なうちにやっておくのが基本です。普通のご家庭なら、最短5日間くらいあれば、一通りの対策はできますので、一念発起してやってしまいましょう。本書など相続について書かれた本を最後まで読んで「相続対策」のイメージをつかんだら、実際に5日間でご自身の相続対策に取り組んでいきます。
まず、A4サイズくらいの大学ノートを1冊用意してください。解説に従って、このノートに、あなたの財産の情報など、相続対策に必要な事項をすべて書き出し、相続税の計算や、遺産分割のプランニングをしていきます。このノートがご自身の「相続対策ノート」になります。
市販の「エンディングノート」ではなく、普通のノートを使うのは、書く内容を自分仕様にカスタマイズできるからです。財産や、カードや電子情報の種類や量は人によって違いますから、書き込む項目や要するスペースなども人それぞれだからです。家族に見られたくない人やセキュリティが心配という人も、普通のノートのほうが見つかりにくく安心です。(「ノートに手書き」ではなく、PCで作成管理したい方は、本書のQRコードでエクセル表をダウンロードすることもできます)。相続対策の第一段階は、このように、まずご自身の相続対策ノートを作ることから始まります。
1~4日目でノートに必要事項を記入、5日目に遺言書を作成
相続対策を始める日程を決めたら1日目から4日目の解説を読みながら、あなたの「相続対策ノート」に必要事項を書き出していきます。本書では、一般論としての解説と読者代表の山田太郎さんのノートのサンプルが載っています。両方を参考にして、書き込むべきポイントを確かめ、あなた自身の情報をノートに記入(あるいはPCに入力)していきます。
自分がわかりさえすれば、書式は自由で大丈夫。また資料を探したり、調べたりする必要があったら、チェックしておいて先に進みましょう(挫折しないための対策)。4日目までで財産の整理と、遺産分割と節税のプランニングを行い、5日目で遺言書のひな形を作るという流れです。
家族にも情報共有。ノートは毎年更新する
相続対策ノートと遺言書を完成させたらご家族に情報を共有しておきましょう。財産額も気持ちも日々変わりますから、ノートは1年に1度は見直し、変化があった部分だけ、書き加え、更新していきます(PCで管理する人は上書きして新しいファイルを作ります)。
1冊ノートを書き終わったら、次のノートを作り、全て保存しておきます。万が一のときのために、ノートや遺言書のありかは家族の少なくとも1人には伝えておきましょう。
以上が、相続対策の簡単な流れとなります。いつ何が起こっても家族に迷惑をかけないために、ぜひ、今年こそ相続対策をやってしまいましょう。
*本記事は、板倉京著『子どもに絶対、迷惑をかけたくない人のための たった5日で相続対策』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成しています。