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「幽霊の正体見たり枯れ尾花」とはまさにこのことだった。
第一三共の話である。新中期経営計画の発表を延期して以降、26年3月期決算発表も含め開示日程が二転三転していたことを機に経営へのネガティブな見通しが拡散し、1ヵ月半の間、株価急落を招くなどしていた。
しかし、蓋を開けてみれば抗体薬物複合体(ADC)の供給計画見直しという本来、そこまで大きくならなかったはずの案件だった。振り返るとこの間の広報・IR活動の拙さから必要以上に燃え広がった人災の側面が強く、そこへコーポレートコミュニケーション部長の急な退社だったり、第一三共ヘルスケアのサントリーホールディングスへの売却だったりとさまざまな傍証が助燃剤として積み重なり、火勢が強まったと言えよう。結果、株価も5月7日には約4年ぶりの安値となる2443円までつけ、第一三共にとってまさに踏んだり蹴ったりの様相を呈した。
発端は3月25日のニュースリリースだった。4月8日に予定していた新中計の公表を5月19日にずらすとした。だが、耳目を驚かすのはその訳。「一部登壇予定者のスケジュール上の都合」で「十分な説明を行う体制を整えることが困難」になったからとしていたのだ。
創業間もないベンチャーならいざ知らず、三共商店設立まで遡れば100年以上の歴史を誇る第一三共である。同業他社や市場関係者が「これは表向きの理由。何か異変が起きているのでは」と勘ぐったとしても仕方はない。一部では同社の主力がん治療薬「エンハーツ」の海外提携先である英アストラゼネカから「切られたのではないか」との情報さえ流れる始末。奥澤宏幸社長の体調不良による退任説まで飛び出た。
悶々とした空気が充満するなかで追い打ちをかけたのが4月24日のリリースだった。何と直前にもかかわらず、4月27日の26年3月期決算発表を5月11日に後ろ倒しにするとし、中計に関しても一緒に公表するとしたのだ。しかも変更理由を「急速な事業環境変化を踏まえ、当社オンコロジー製品群並びに開発品の供給計画を見直しているため」としたのだからきな臭さは一気に増す。
提携先のアストラゼネカのみならず「米メルクとも解消するのではないか」「臨床試験で想像以上に思わしくない結果が出たのではないか」とさまざまな風聞が水面下で行き交った。







