ベストセラー『「悩まない人」の考え方』著者の木下勝寿氏が「マーカー引きまくり! 絶対読むべき一冊」と絶賛する本がある。『スタートアップ芸人 ―― お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』だ。著者・森武司氏が創業したFIDIAでは、いまも“仲間力”を重んじる文化が息づいている。今回はその森氏のもとで働く現役社員・山口貴一氏にインタビュー。新卒でいきなりプロ意識を求められる環境に飛び込んだ山口氏に、「経験ゼロからどう意識を切り替え、プロとして戦えるようになったのか」を伺った。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

「プロ意識がない」と陰で言われてしまう新人のざんねんな思考・ワースト1Photo: Adobe Stock

新卒1年目、いきなり人事コンサルタントに抜擢された!

――入社当時、どのようなお仕事を任されたんですか?

山口貴一(以下、山口):僕は新卒でFIDIAに入り、すぐにコンサルティング部門に配属されました。

クライアント企業と一緒に組織課題の解決を目指す仕事です。

僕が担当したのは「人事コンサル」でした。

僕らは「人と組織の力を最大化させる仕事」と呼んでいますが、要は従業員のみんなに気持ちよく働いてもらえる組織を作る仕事なんです。

僕は、人事業務の経験がないのに、そのサポートをしていくコンサルタントになってしまった。これが、自分にとってのネックでした。

――経験のない状態でコンサルを担当するのは、かなりプレッシャーがあったのでは?

山口:正直、かなりのプレッシャーでした。

クライアントは企業の人事部長や経営層で、年齢もキャリアも自分の何倍もある方ばかり。そんな中、新卒1年目の若造が、50歳のベテラン人事部長に意見することに。もうどうしても気後れしてしまうんですね。

「自分にそんなことできるのか!?」と正直、不安のほうが大きかったですね。
なかなか発言に自信が持てず、おどおどしていた時期もありました。

未婚のウェディングプランナーに学んだ「プロ意識」

――どうやって、その壁を乗り越えたのでしょう?

山口:あるとき、「ウェディングプランナーは実は未婚の方が多い」という話を聞いたんです。

結婚経験がなくても、プロとして多くのカップルをサポートしている。その事実にハッとしました。

「たしかに、自分がウェディングプランナーに相談する立場だったら『未婚なので自信がなくて…』って言われても困るよな」と。

やっぱりプロとして仕事をする上では、未婚だろうが結婚してようが関係ないと思ったんです。

それからは、人事経験はなくても、プロとしてプライドを持ってコンサルティングをしていこうと思えました

戦い方を変えたら、自信が生まれた

――考え方を変えたことで、仕事のやり方にも変化がありましたか?

山口:ありましたね。それまでは、どこか「若いから仕方ない」とか「経験がないから」という甘えがあったと思います。

でも、クライアントからすれば、僕が新卒だろうと未経験だろうと関係ない。お金を払って依頼してくださっているわけで、僕はその“プロ”としてそこに立っているんだ、と腹をくくるようになりました。

――とはいえ、経験のない中で「プロ」として振る舞うのは難しそうに思えます。

山口:そうですね。でも僕は「ウソをつかない」というルールを自分に課すことで、だいぶラクになったんです。

ウソをつかない、というのはつまり、「ファクト(事実)」に基づいて話すということです。

――具体的には、どんなファクトでしょう?

山口:たとえば「この会社の人件費率はこれくらいで、業界平均と比べてこうだから…」とか、「従業員満足度のアンケートでこういう傾向が出ている」とか。

経験がなくても、事実に基づいて論理的に話せば、クライアントはきちんと耳を傾けてくれるんです。

むしろ、あいまいな“雰囲気”や“なんとなくの肌感”で話すほうが、よっぽど信用されません。

――逆に聞きますが、「プロ意識がない」と言われてしまう新人は、どんな考え方をしてしまっていると思いますか?

山口:僕が思う「プロ意識がない」新人のワースト1の思考は、「自分なんてまだ何もできない」と思い込んでしまうことです。

たしかに経験はまだ少ないかもしれない。

でも、クライアントは「経験があるかどうか」を見ているわけではなく、「向き合ってくれるか」「本気で考えてくれているか」を見ている。

だから、「自分なんて」とか「まだ無理」って思って何もしないのは、プロとして一番残念な姿勢だなと思います。

「プロとは何か」を考えるきっかけになった一冊

山口:『スタートアップ芸人』にも、こうした「経験がなくても仲間と一緒に成長していく姿勢」や「プロとしてのスタンス」が描かれています。

僕自身も、入社当初に感じた悩みや不安を思い出しながら読みましたし、新卒や若手で悩んでいる人にも、きっと参考になる本だと思います。

(本稿は『スタートアップ芸人 ―― お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』に関する書き下ろし記事です)