険悪な上司と部下写真はイメージです Photo:PIXTA

そろそろ新入社員が現場に配属される頃ではないでしょうか。始業時間ギリギリに出社した新入社員に対し、上司が「早く来て仕事の準備をしておくのが当たり前。明日からは30分早く来るように」と叱責。しかし納得がいかなかった新入社員は30分前出社を拒否、専務から呼び出される事態に。新入社員と上司、どちらの言い分が正しい?(社会保険労務士 木村政美)

<甲社概要>
都内で大型機械の販売とレンタル業を営む。従業員数300名
<登場人物>
A:4月入社の新入社員で5日間の新入社員研修の後管理課に配属された22歳。
B:管理課長でAの上司。45歳。
C:Aの同僚で総務課勤務。22歳。
D:甲社の専務で人事労務の責任者。
E:甲社の顧問社労士。

勤務初日から、8時55分に来るとは大した度胸だな

 4月8日の朝。新入社員のAが管理課のフロアに出勤すると、すでにB課長以下メンバー15名が全員揃い、パソコンで作業をしたり、取引先等に説明する資料を準備したりなどすでに仕事を始めていた。Aは自席で缶コーヒーを飲みながら決裁書類に目を通しているB課長に声をかけた。

「あのう……今日からここで働くことになりました、Aです」

 顔を上げたB課長は、パソコン画面で今の時間を確認すると不機嫌な顔で言った。

「8時55分か。勤務初日から始業時間ギリギリに来るとは大した度胸だな」

「仕事は9時からなので、それに間に合えばいいと思ったんですが……」

「あのね。確かに会社の始業開始は9時からだよ。でもその前に、仕事の準備とかあるでしょ? だからみんな始業1時間前には会社に来ている。君は新入社員だし、今は担当の仕事がないからそんなに早く来なくていいけど、30分前には席に着いててもらいたいね」

「はい……」

「学生の時は授業に間に合えばギリギリでも良かったけど、会社は違う。9時になったらお客様からの注文、問い合わせの電話やメールが入るから、すぐに応対できるようにしないとダメなんだ。分かった?」

 次の日8時30分に出社したAだが、何もすることがないので席でボンヤリしていると、B課長がやってきた。

「A君、随分ヒマそうだね」

「課長の言う通り早く来ましたが、何もすることがありません」

「そんなときは、先輩たちに『何か手伝うことはありませんか?』って聞くんだよ。それが新入社員の心構えってものだ」

「はい……」

「じゃあ今日は私が仕事を頼もう。午後の課内ミーティングで使うから、この冊子の8ページから10ページまでを、それぞれ20部ずつコピーし持ってくるように」

 と言い、Aに小冊子を渡した。