「呪い」とは“かわいい”のことだった?言葉の本当の力に気づく瞬間
【高校にも塾にも通わず、完全独学で東大合格!】――しかも、首席合格とわずか3点差のほぼトップ合格!『成績アップは「国語」で決まる! 偏差値45からの東大合格「完全独学★勉強法」』(ダイヤモンド社)の著者は、中学3年生のときに「東大合格」を宣言。高校にも塾にも通わず、完全独学で東大合格を目指したけれど……全国模試は「偏差値45」。そこで、徹底的に「国語」鍛えるという“大逆転の勉強法”を編み出す。勉強の大半を「読書に費やす」という常識外れの戦略で、全科目の成績が軒並みアップ! すべての科目は結局、国語の力がモノをいうことがわかった。コスパとタイパを徹底し、四コマ漫画や恋愛ゲームで楽しみながら学力を高める方法から勉強への合理的なモチベーションの高め方までを徹底指南。超★実践的な成績アップ法を初公開する。
※本稿は、『成績アップは「国語」で決まる! 偏差値45からの東大合格「完全独学★勉強法」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

【辞書ではムリ】語彙力を本気で伸ばしたい人が知らない“たった1つの視点”Photo: Adobe Stock

国語力の土台は「語彙力」

国語力向上のベースとなるのは、「語彙力」です。これは言葉の意味をよく理解し、適した場面で使いこなせる力です。

語彙力というと、テレビのクイズ番組で出題されるような、普段はあまり使わない単語や難読語の読み方や意味を知っていることだと誤解されがちです。

しかし、こと入試で求められる語彙力の高さは、「齟齬」「慚愧」「久闊」といった滅多に使わない言葉を知っていることではありません。

「いま使われている言葉」を多面的に理解する力

入試で求められる語彙力とは、知っている単語量の多さに左右されるのではなく、リアルに“いま使われている言葉”を多面的に理解する力なのです。

どういうことかというと、たとえば歌人・俵万智さんの第一歌集『サラダ記念日』は、「『この味がいいね』と君が言ったから七月六日はサラダ記念日」という短歌で知られています。

「サラダ」や「記念日」といった誰でも知っている何気ない言葉を、「サラダ記念日」という新鮮な組み合わせで読む人の心を動かすのが、語彙力の高さの表れなのです。

「呪い」に込められた文脈の力

あるいは、「呪い」という言葉から連想するのは、恨みのある人物に災いをもたらそうと、古木にくくりつけた藁人形に五寸釘を打ち込むようなシーンでしょう。

しかし、「自分は男性だと思っている花子にとって、子どもの頃から『かわいらしい』と言われるのは“呪い”のようなものだった」という文章で使われる「呪い」という言葉は、藁人形とも五寸釘とも関わりがありません。

それを「自分らしくありたいという自我の形成にとってのくさびのようなもの」といった解釈ができるのが、入試で本当に求められている語彙力の高さなのです。

国語辞典の限界と「生きた言葉」

ですから、国語辞典を引く習慣そのものは、試験に求められる語彙力の向上に直結しないと僕は思っています。

日本を代表する国語辞典『広辞苑』の収録項目数は約25万語にも上ります。

国語辞典を編纂する社会的・文化的な意義を否定する気はありませんが、収録された言葉には実質的な「死語」に近いものも少なくありません。さらに、言葉は文脈によってその意味を変化させる存在ですから、国語辞典に載っている言葉は「生きた言葉」ではないのです。

本当に使える語彙力をどう育てるか?

日常の会話でも、試験に出されるテキストでも、ほとんど活用されていない単語も多数含まれています。

入試に求められる語彙力は、ごく普通の“いま使われている言葉”を多義的に操れる能力です。それを辞書で高めることが難しいとしたら、ほかにどのような方法があるのでしょうか?