給与の「もらい過ぎ」が不安の種にPhoto:Witthaya Prasongsin/gettyimages

 誰もが自分は給料に見合う価値、いや、それ以上の価値があると考えたがる。ところが、数年前に大幅な給与アップを勝ち取った人の多くは、米労働市場が減速する中で自分たちが「もらい過ぎている」ことを痛感し始めている。

 契約に見合う働きをしていない、というわけではない。テクノロジー業界などで賃金が下がる一方、給与の透明性を求める法律が米国各地に広がったことで、もらい過ぎという事実を無視しにくくなっている。

 こうした「幸運な」人々を嘲笑したくなるかもしれないが、自分もその一人かもしれないと考えてみよう。コンサルティング会社コーン・フェリーの新たなリポートによると、米国の労働者の3分の2は、現在の自分のスキルに見合うか、それ以上の報酬を得ていると回答している。

 同社のシニアクライアントパートナー、ロン・サイファート氏は「確かにこの1年で当社の顧客企業の間で変化が見られる」とし、「採用活動は以前ほど積極的ではなく、求人をより慎重に検討している」と語る。

 筆者は最近、新型コロナウイルス流行をきっかけに企業の間で人材獲得競争が激化した時期に転職した20人以上から話を聞いた。チャンスをものにして給与が上がった満足感に浸ったものの、不安が影を落とすようになった人が多い。今職探しをしたとしても、現在と同水準の給与は得られないのではないかと懸念している。

 高収入を前提に住宅を購入し快適なライフスタイルを築いた人々は特に、給与が減ることを心配している。企業がコスト削減を決めた場合、自分の高額な給与が標的になるのではないかと懸念する人もいる。