ドナルド・トランプ米大統領が欧州連合(EU)に対して突如、追加関税をちらつかせた背景には、EUの税制、規制、対中国の姿勢を巡り、政権内の経済チームの不満が高まっていることがある。事情に詳しい複数の関係者によると、トランプ氏の顧問らは、EU加盟国の貿易に関する優先順位の違いが協議を遅らせているとして、欧州当局者らに非公式にいら立ちを示していた。また、協議に対するEUの慎重な姿勢や、ストリーミングサービスの手数料、付加価値税、自動車規制、独占禁止法違反での米企業への制裁金など、米国の懸念に対する具体的な提案を示すことに消極的な姿勢についても不満を漏らしていた。関係者によると、トランプ政権当局者らは対中圧力を強めることを目指しているが、EU首脳からは中国に対して新たな関税を課すというコミットメントは今のところ得られていない。米国との個別の貿易交渉の一環として、英国は中国製鉄鋼に関税を課す方向で合意し、これが今月、トランプ氏が発表した米英貿易協定につながった。EUの姿勢に詳しい関係者によると、EU当局者らは中国のような非市場経済に対処する意思を示している。
トランプ氏、対EU通商協議の遅さにいら立ち
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