最近の長期米国債の利回り急上昇は投資家を不安にさせている。だがそれが米国の金融機関の思うつぼとなる可能性がある。長期金利の上昇がもたらす結果の一つが、利回り曲線(イールドカーブ)のスティープ化と呼ばれる現象だ。つまり、数カ月以内に満期を迎えるようなデュレーションの短い債券の利回りと、デュレーションの長い債券の利回りにますます差がつくことを意味する。米国債の2年物と10年物の利回り差はこのところ2022年以降で最高水準付近にある。この状態が続けば、大きな変化を意味し、米銀にとって好材料となる。何年にもわたってイールドカーブはほぼフラットだった。すなわち満期までの期間が違っても利回りがほぼ同じか、時には短期債の利回りが長期債を上回る逆イールドが起きていた。このようなイールドカーブの形は銀行の中核事業にとって厳しいものだった。
債券市場の不安、米銀には追い風となるか
金融機関はリスクを抱える一方、長期金利上昇が有利に働く面もある
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