しばしばこれを「罰金」と呼ぶ人がいますが、正しくは「反則金」という行政罰です。
金額は道路交通法施行令の別表で細かく定められており、告知されてから7日以内に反則金を支払えばそれで終わりです(ただし、反則点数はつきますし、反則金も不払いのままだと刑事処分になってしまいます)。
「30km/hオーバーまで」が
意識的な分水嶺になる理由
一方、一般道で30km/h(高速道路で40km/h)以上の速度超過の場合は赤キップが切られ、いきなり「6月以下の懲役又は10万円以下の罰金」という刑事罰の対象となります。
30km/h(40km/h)以上の速度超過は「非反則行為」と呼ばれますが、これは「もはや反則行為の域を超えている」といったニュアンスです。
「30km/hオーバー」が多くの運転者の意識的な分水嶺になっているのは、こうした「反則金(行政処分)で終わるか罰金・懲役(執行猶予)になるか」という分かれ道に由来しているのだろうと思います。
ちなみに、非反則行為として刑事処分になる場合、速度超過がおおむね80km/hを超えるときは執行猶予付きの懲役刑(公判手続)となり、80km/hを超えなければ罰金(略式命令手続)となるのが一般的です。
とはいえ、普通に車を運転している限り30km/hオーバーで止められるというケースはそれほど多くはないはずです。一般の運転者の関心事は、やはり反則行為として検挙されるのはどの程度の速度違反からかというところでしょう。
こちらは「反則行為/非反則行為」のような法令上の明確な区別はないので、形式的には制限速度を0.1km/hでも超えると違反になります。
もっとも、巷では「制限速度+10km/h程度までは検挙が見送られるケースが多い」ともいわれています(真偽のほどはよくわかりませんが、私自身も警察の関係者がそのように口にするのを聞いたことがあります)。
道路交通法には、制限速度のほかにも通行区分やキープレフト、一時停止、追越し方法など様々な守るべきルールが設けられていますが、こうしたルールと実態の乖離がはっきりと存在しているものはほかには見当たりません。
そして、速度制限についてこのような「10km/hのバッファ」が設けられているのは、警察が寛容であるというわけではなく、単に反則行為認定の明確性を確保するためであろうと思われます。