世界有数の公共事業大国で、年がら年中どこかしらで道路工事している日本。しかし、実は世界的に見ても社会インフラがボロボロでそのレベルは発展途上国並なのだ。それどころか自然災害における犠牲者数にも世界ワースト上位に位置している。それは一体なぜなのか。※本稿は、大村大次郎『世界で第何位? 日本の絶望 ランキング集』(中公新書ラクレ)の一部を抜粋・編集したものです。
日本の社会インフラは
途上国並のボロボロさ
「日本は世界の中でも社会インフラが整っているほうだ」
日本人の多くは、こう信じているのではないだろうか?
しかし、残念ながらそうではない。
むしろ、日本は社会インフラがボロボロで、先進国とはとても言えないほどなのだ。
日本は毎年、多額の予算を投じる、世界有数の公共事業大国である。だから、当然、社会インフラも整っていなくてはならないはずだ。
たとえば、年度末のたびに、国中のあちこちで道路工事が行われる。これはその年度の予算を消化するために、駆け込みで道路工事を行っているからであり、日本の悪しき「風物詩」とさえなっている感がある。
これほどふんだんに予算を使っていながら、日本の道路は、先進国の中では整備されているとは到底言いがたいのである。
また日本は自然災害大国とはいえ、一応、先進国でもある。相応の災害対策が施されているから、自然災害における犠牲者は、世界的に見てそれほど多くはないはず、と考えている国民は多いかもしれない。しかし、これも残念ながら正解ではない。日本は自然災害での犠牲者数において、世界ワースト上位に常に位置してしまっているのだ。
世界には、インフラ整備が整っていない地域はたくさんある。南米やアフリカのスラム街など、よくこんな場所で暮らせるものだというようなところも多々ある。そういう場所で、災害が起きて大きな被害が生じたというニュースが、時々報じられる。
しかし、日本はそうした貧しい地域、発展途上の地域をしのぐほど、毎年多くの災害犠牲者を出しているのだ。
さらに先進国の景観には見られない「電柱」や「電線」などが、いまなお国土全体に張りめぐらされるなど、信じられないほど基本的な社会インフラが整っていないのである。
ずさんで無計画で
無駄が多すぎる公共事業
公共事業に関しては、80年代から90年代にかけて「多すぎる」と厳しく非難された。そのため、2000年代の中ごろからは大幅に削減された。