結婚式イメージ写真はイメージです Photo:PIXTA

店舗や結婚式で流す音楽、あるいは音楽教室で使用する練習用の音源には、「JASRACへの著作権使用料の支払い」が伴う。過剰ではないかとの声もあるこの使用料制度だが、JASRACに対して支払い義務のない音楽の楽しみ方も存在するという。では、その対抗手段とは何か?※本稿は中村真『世にもふしぎな法律図鑑』(日本経済新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

結婚式は音楽の
「私的利用」の場ではない

 大昔、まだ事務所や電車の中で煙草が吸えた時代には、結婚披露宴での音楽使用もさほどうるさくなかったようで、我々の親世代が余興で「てんとう虫のサンバ」を流したり歌ったりするのに使用料を払ったという話は聞いたことがありません。

 ところが近年は、JASRAC(日本音楽著作権協会)が披露宴での音楽の使用に使用料を請求するのが当たり前となっています。

 2017年にはブライダルビデオの製作会社に対し、長年使用料を支払わずに楽曲使用を続けているとして、使用差止めと損害賠償を求める裁判を起こしたニュースが話題になりました。この事件は演奏権ではなく音楽著作物の複製権が問題となったケースでしたが、その後判決に至らず、一定の金員を支払う形で「円満に和解が成立」した模様です。

 極めて私的な場で、新郎や新婦が参列者に「自分がお金を出して買ったCD」をかけて聞かせるのに(しかも多くの場合、1曲のうちほんの一部を各シーンで使うだけなのに)、さらにJASRACに使用料を払わないといけないというのは釈然としない、と感じる人もいるかもしれません。