白バイの取り締まり写真はイメージです Photo:PIXTA

スピード違反で摘発された者が決まって口にするのが「なんで俺だけ」という言葉だ。確かに、真面目なドライバーであっても、無意識のうちに法定速度を超過してしまうことは珍しくない。では、法定速度を何キロ超過すれば取り締まりの対象となるのか。「10km/hオーバーはセーフ」といった都市伝説は事実なのか。法律の専門家が、このグレーゾーンの実態を解説する。※本稿は中村真『世にもふしぎな法律図鑑』(日本経済新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

法定速度と実際の速度は
違うという現実

 自動車を運転していてしばしば頭をよぎるのは、法律上の速度制限と実際に走っている車の速度に開きがあるということです。

 有り体に言うと「40km/h制限の道を40km/hで走っている車はいない」といった現象ないし運転者の意識のことですが、世のドライバーの皆さんはこのモヤッとした法規のルールと実態の乖離を、どのように受け止めてハンドルを握っているのでしょうか。

 おぼろげながら「速度超過も10km/hまでならまあ大丈夫」「30km/hを超えるとさすがにマズい」といった漠然とした2つのラインを意識している人が多いのではないでしょうか。

 では、その意識はいったいどこから来るのでしょうか。また速度超過にグレーゾーンのようなものがあるとして、その乖離は是正されるべきなのでしょうか。

 道路交通法やその委任を受けた政令では、制限速度違反について、速度超過の程度ごとにいくつかの段階的なペナルティを置いています。

 一般道で30km/h未満(高速道路で40km/h未満。以下同じ)の速度超過は反則行為としていわゆる青キップ(交通反則告知書)を切られ、反則金の納付を求められます。」