突然帰宅した次郎
ドアを開けた途端のサプライズ
のぶが婚家で家事をしていると、突然次郎が帰宅。ドアを開けた途端、のぶの写真を撮って驚かせる。
第44回、「次郎の航海の間、のぶは朝田家から学校へ通うことになりました」と語り(林田理沙)が説明していたのだが、第45回ではいちいち婚家から通っているようだった。
いつの間にか、そうなったのか視聴者にはわからず、筆者も、ん?と思ったが、のぶが婚家に戻っていたため、次郎の突然の帰郷を迎えることができたのだ。よかった。もしも次郎がいないからと実家にずっと滞在していたら残念なことになるところである。
のぶが実家に泊まらず高知の婚家に戻っていることは、帰り道、郵便局の配達中の蘭子(河合優実)とすれ違うことでわかる。ここでは短い時間で、実家の様子、男手が減ったため女性も集配をやるようになったという状況までわかった。
さて。急ごしらえの芋の煮っころがしを次郎は美味しく食べ、そのあと、外国で撮ってきた写真の現像を行う。撮ったばかりののぶの写真が一番よく撮れていた。全然、写真の質感が違っていた。ほかの写真はややぼんやりしているのに、のぶの写真だけくっきり現代的な写真だった。
写真について次郎は「この瞬間だけじゃのうてその前と後ろに流れる時間も知りとうなるがよ。彼らがどんな人生を送ってきたがか、この先どんな未来が待ちゆうがか」と言う。
次郎は戦争が終わったあとのことを考えて「のぶといろんなところにいける時代が来ればいいな」とも。これは、『カムカムエヴリバディ』(2021年度後期)の稔さん(松村北斗)の名台詞「どこの国とも自由に行き来できる。どこの国の音楽でも自由に聴ける。僕らの子供にゃあ、そんな世界を生きてほしい。ひなたの道を歩いてほしい」とも重なるように聞こえた。
寛、屋村、健太郎と愛嬌のある人たちがいないいま、次郎だけが救いである。
玄関でシャッター押してうれしそうに笑う顔など、ちょっとへんで、でも憎めない人である。演じている中島歩は『花子とアン』(14年度前期)の生真面目な革命文士のような役の頃は青臭い真面目な二枚目でしかなかったが、10年たって、その真面目さが熟成されておもしろさを作り上げている。
