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ハマスとの間に停戦が成立してもなお、なぜイスラエルはガザへの攻撃をやめないのか。そこには、軍事や外交だけでは説明しきれない構造がある。「約束の地」という思想がどのように国家と社会を動かし、ガザ戦争の長期化をもたらしているのか、その背景を読み解く。※本稿は、イスラーム研究者の池内 恵編著『「世界を動かす宗教」講義』(PHP研究所)のうち、国際政治学者・立山良司氏による執筆部分の一部を抜粋・編集したものです。
強硬姿勢をとっているのは
ネタニヤフ首相だけではない
イスラエルとガザ地区のイスラム組織ハマスとの戦いは2年を経て、2025年10月10日にようやく停戦を迎えた。停戦後もイスラエル軍の攻撃が続いており、ガザの情勢は不安定なままだ。「ハマス壊滅」というイスラエルの戦争目的は達成されず、ハマスは支配の再建を図っている。
それでも軍事的にはかなり弱体化し、大規模戦闘が再発する可能性は減少した。この間、イスラエルはレバノンのヒズボラやイエメンのフーシー派、イランなどと多正面で武力対立を繰り返した。2年間の戦争は予備役兵士への過剰な負担や財政悪化、国際社会からの強い批判など、イスラエルにとって好ましい結果を残したとは思えない。
停戦がなかなか実現しなかった理由として、首相の座に固執するベンヤミン・ネタニヤフ個人の政治的打算や、連立政権内の「極右」政党の強硬姿勢がよく指摘された。この点は否定できない。
だが右傾化と宗教化が進行しているイスラエルのユダヤ社会内では、いまや宗教シオニズムを中心に「約束の地」思想に基づいて占領継続を絶対視する「大イスラエル主義」が大きな思想潮流となっていることは見逃せない。







