
3日の韓国大統領選で同国の国民が「左旋回」した。彼らは長年、保守から革新へ、革新から保守へと投票先を変えてきたが、今回もそのパターンが踏襲された。革新系候補の李在明(イ・ジェミョン)氏に大敗した保守にとっての教訓は、政治的クーデターを試みることで有権者の支持を得られると期待してはならない、ということだ。
今回の大統領選は、2027年に実施されるはずのものだった。しかし、昨年12月に非常戒厳を宣言した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が弾劾・罷免されたことで、選挙が前倒しされた。尹氏は、自身の政策が国会で支持を得られないことにいら立ち、独裁者の手法を借用することを決めたが、それは悪手だった。
当時、韓国国民は非常戒厳に抗議するため国会に駆けつけた。国会議員らは、宣言から数時間で非常戒厳を解除に追い込んだ。3日の大統領選の結果は、民主主義の反撃だった。保守系与党「国民の力」の金文洙(キム・ムンス)候補に勝利のチャンスはなく、得票率41%対49%で李氏に敗れた。
李氏は「韓国のバーニー・サンダース」と呼ばれることもあり、その国内政策は記憶する限り最も左翼的だろう。同氏が所属する「共に民主党」は国会の300議席のうち171議席を支配しているため、余裕をもって国政運営に臨めると思われる。李氏は週4日労働制への移行を目指し、4日半労働から始めたいと考えており、休暇や病気休暇の拡大も望んでいる。