ダイヤモンドで読み解く企業興亡史【サントリー編】#58Photo:SANKEI

昨年、サントリーホールディングスで10年ぶりに創業家出身者がトップに就任する“大政奉還”があった。創業120年超の歴史を誇る日本屈指の同族企業、サントリーの足跡をダイヤモンドの厳選記事を基にひもといていく。連載『ダイヤモンドで読み解く企業興亡史【サントリー編】』の本稿では、「週刊ダイヤモンド」2014年1月25日号の記事「成長を求めて巨額M&A サントリー“最後の賭け”」を紹介する。サントリーホールディングスは14年に世界有数のバーボンウイスキー、ジムビームなどの製造元である米ビーム(現サントリーグローバルスピリッツ)を約1兆6800億円で買収した。サントリーがグローバルに飛躍していくきっかけとなった乾坤一擲の巨額買収に踏み切った理由とは。(ダイヤモンド編集部)

サントリーが米ビームを巨額買収
80年代からのM&A総額を上回る

 サントリーホールディングス(HD)は13日、米国の大手酒類メーカーの米ビーム社を160億ドル(約1兆6800億円。1ドル=105円で換算、以下同)で買収することに合意したと発表した。

 かねて「成長のためのM&Aは機会があれば積極的に行う」(佐治信忠・サントリーHD社長)と宣言し、実行してきたサントリーHDだが、今回は額が1桁違う。1980年代からサントリーグループが行ってきた海外M&Aの総合計額を上回るのだ。

 買収額のうち1兆円以上が銀行借り入れによる調達となる。この巨額の資金調達は、昨年7月に子会社のサントリー食品インターナショナルが上場したことによるところが大きい。

 この上場でサントリーHDは、手持ちの同社株売却益などで4000億円超のキャッシュを手にし、実質無借金状態を達成したのだ。

 非上場のサントリーHDは創業以来、借金依存度が高かった。約1年前の2012年期末時点でのD/Eレシオ(負債資本倍率)で同業他社と比較すると、アサヒグループホールディングス0.66、キリンホールディングス0.99に対して、サントリーHDは1.14だった。

 そのため、「これまであまたの投資案件が持ち込まれたが、負債比率が高過ぎて断念したことが多くあった」(金融関係者)。

 実はビーム社もそんな条件の一つで、1年ほど前からサントリーHDは検討していた。一時は産業革新機構との共同買収というスキームが浮上したが、頓挫。それが、前述の財務改善で資金調達が可能となり、今回の決定になった。

「週刊ダイヤモンド」2014年1月25日号「週刊ダイヤモンド」2014年1月25日号