サムスン 復活・衰退分岐点#1Photo by Shuhei Inomata

韓国の国内総生産(GDP)の約2割を占める大財閥、サムスングループの業績に影が差している。特にグループ最大規模のサムスン電子において、主力の半導体産業の勢いが減退。2024年には同じ韓国企業でライバルのSKハイニックスに営業利益で抜かれた。かつて世界の覇権を握った家電やスマートフォンも海外企業の隆盛により失速した。背景に何があるのか。特集『サムスン 復活・衰退の分岐点』(全6回)の#1では、サムスン電子の没落の原因に迫る。(ダイヤモンド編集部 猪股修平)

製品シェアも時価総額も伸び悩み
会長不在と「官僚化」が致命傷に

 半導体、家電、スマートフォン、電池――。21世紀に入り、長らく韓国サムスン電子は世界で覇権を握ってきた。

 かつては、「日本メーカーの模造品」とさげすまれた時代もあった。しかし、1980~2000年代に待遇面と挑戦ができる環境を強みに、日本メーカーからの人材の引き抜きに成功。折しも日本メーカーの人員削減の時期と重なったこともあり、「サムスン電子で働く日本人技術者は、一時期は数百人に及んだ」(同社関係者)。

 顧客ニーズを最優先に、同じ製品でも価格帯を幅広くするなどして支持を得た。やがて、市場を席巻していた日本メーカーを技術、販売、営業のいずれでも凌駕するほどに成長した。

 サムスン電子は主に電子機器で世界シェアのトップに躍り出た。スマホは2割強、半導体メモリーは5割近くのシェアを握った。

 2000年代の成長期にサムスン電子の経営陣と交流が深かった日本人の関係者は「経営は厳格なトップダウン型である一方で、研究の現場は他社に追い付こうという雰囲気があった。意思決定が素早く『日本メーカーに負けない』という強い気概が成長の源になっていたようだった」と振り返る。

 ところが20年代に入り、没落の兆しが見え始めた。「盛者必衰」の様相を呈しているサムスン電子でいったい何が起きているのか。

 次ページではスマホや半導体の世界シェアや時価総額の低下状況をライバルと比較し、要因を分析するとともに、サムスン電子の関係者やOBの証言から同社の減速の原因を明らかにする。