中学受験生がいるご家庭にとって、5月~6月は、志望校の説明会や文化祭などが目白押しの季節。わが子に本当に合う学校はどこなのかを、子どもと一緒に実際に体感し、見極めに行くチャンスです。とはいえ、ただ漫然と行くだけでは学校の真の姿は分からないもの。子どもを本当に伸ばしてくれる志望校の見極め方や選び方、さらにはその志望校に合格するための「過去問対策」の方法までが一冊にまとった『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(安浪京子著)から抜粋して、そのノウハウの一部をご紹介します。

学校の「本気度」はどうやって知るか?
英語に関しては、どの学校も「力を入れている」とアピールしているので、比べられない……とお思いの方も多いのではないでしょうか?
昨今は英語に加え「グローバル教育」「探究教育」との言葉をよく聞きますが、これらの本気度はどのように見抜けば良いのでしょうか。
英語教育の本気度こそ、学校説明会で測る
英語に力を入れている学校は、説明会で質問した際に、担当者が登壇するなどして事細かく説明をしてくれます。
各学年ごとに英検やTOEFLの目標を細かく設定している学校もあれば、高校3年間同じ問題集を何回もくり返して徹底的に知識を定着させる学校、オールイングリッシュ授業に力を入れている学校など、ウリは様々ですが、「具体的」かつ「細かい」説明が学校説明会で聞けるかどうかは、「本気度」を測るポイントです。
在学中の留学制度は整っているか
「話す」「聞く」能力を上げるのに、留学は大きな力になることがあります。留学をきっかけに「もっと英語でコミュニケーションがとれるようになりたい」と、勉強への意欲を膨らませる生徒もいます。
また、ある程度文法をマスターした後に留学すると、今まで習ってきた文法や構文が有機的に結びついていく、という体験をするお子さんもいます。文法が無味乾燥なつまらないものではなく、留学で生きた知識となり、感動したと話す子もいました。
ある男子校では「母親と距離を置くために全員に留学をさせる」そうです。最近では母親べったりで自立できない男子も増えていますが、留学をすることで母親と離れ、初めて親への感謝の心が持てるようになる―そんな意図も込めているそうです。
ただし、留学についてのスタンスは学校によって様々です。
「全員」なのか、「希望者は全員」なのか、あるいは「選抜」なのか。
また、留学先でとった授業がそのまま認められるのか、該当学年に復学できるのかなども大切です。
今は、姉妹校や提携校、個人で探してきた学校でもICC国際交流委員会が認めたものであれば、帰国してから同級生と一緒に進級できる学校が多くあります。
留学に興味がある場合は、このあたりの条件もしっかりと聞いておきましょう。
グローバル教育のプレゼンに騙されない
グローバル教育を謳っている学校の多くがプレゼンするのが「英語教育+海外研修(留学)」です。
しかし、グローバル教育とは「世界規模の視野で物事を見て考えるための学習法」を言います。文化背景の異なる様々な国・言語の人たちと出会う場があるかどうかが大事なのであって、「グローバル教育=英語教育/英語圏へ行くこと」ではありません。
英語に長けた帰国生たちに海外大学の合格実績を稼いでもらうのは、グローバル教育とは程遠い姿です。
グローバル教育を高らかに掲げている学校が、「英語教育/英語圏への研修/海外大学合格実績」だけをウリにしていたら、それは流行りのキーワードを使っているだけとも言えます。
探究学習も「具体的」かつ「細かい」説明があるか
探究学習とは、自分自身で問いを立て、自分なりのやり方で解決を探っていくことです。
1年間あるいは3年間かけて自分の興味あることを研究・発表する場を用意する学校も増えてきました。
ここで注意したいのは「○○のために探究に力を入れている」という説明。何かを突きつめていく過程で、結果的に成長し、何が身につくかは人それぞれというのが探究です。
それを普段の教科・授業内で自然に取り入れている先生もいます(灘中で中学3年間かけて「銀の匙」1冊を読み込む授業は有名でした)。
目的ありきで“探究”をうたっていないかも要チェックです。
*本記事は、『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(安浪京子著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成したものです。