
金融危機の真っただ中にあった2008年当時、筆者は17歳だった。高校の新聞に記事を書き、自分のしがないベビーシッターの仕事が何十人もの顧客を失ったいきさつを詳述した。しかし、そうした若い頃でさえ、住宅ローンの滞納による差し押さえや銀行救済などが周囲にもたらした影響を目にすることができた。
そして2020年がやってきた。筆者が30歳の誕生日を迎えようとしていた頃、新型コロナウイルス流行とロックダウン(都市封鎖)で世界的に経済活動が停止した。それに伴って起きたリセッション(景気後退)のため、筆者や仲間たちは高収入を得たいという野心を棚上げにせざるを得なかった。
2007~09年および2020年のリセッションからいまだ立ち直れずにいるミレニアル世代が、筆者だけではないことは分かっている。コロナ下の人員削減で職を失った友人たちはいまだにやりがいのあるフルタイムの仕事を見つけるのに苦労している。アルバイトや季節限定の仕事を組み合わせることで何とかしのぐ方法を見いだしている人もいる。それ以外のうまくいっているように見える人たちであっても、経済的には不十分だと感じている。その主な理由は、不況の年があると、何とか貯蓄したり投資したりして築いたものすべてが無になってしまうという経験をあまりにもよく知っているからだという。
そして今、マネーに関して再び大きな節目を迎えようとしている。筆者はまたもや恐ろしい経済ニュースを読み、自分の貯蓄口座を調べ、起こり得るリセッションに対して覚悟を決めている。それは筆者にとって20年足らずで3回目のリセッションになる。
歴史的見地から考える
しかし、キャリアを構築し、ようやく安定してきたこの重要なタイミングで、3回目のリセッションを経験するのはそれほど異例なことなのだろうか。
セントルイス地区連銀の調査担当上級職員アナ・ヘルナンデス・ケント氏は、大恐慌の影響が続いていた時代に育った人たちにとって、この程度のリセッションの数はそれほど異常に感じられなかったはずだと指摘した上で、すべてのリセッションが同じではないと直ちに強調した。2007~09年と2020年のリセッションの際には、いずれも失業率が極めて高くなった。2020年の失業率は統計開始以降の最高を記録し、コロナ禍は何百万人もの米国人に異常な雇用状況をもたらした。