イラン、中国に弾道ミサイル用原料を発注Photo:NurPhoto/gettyimages

 イランは中国に数千トンの弾道ミサイル用原料を発注していた。イランが核開発を巡り米国と協議を重ねる中、軍事力の再構築を目指す動きだ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

 関係者によると、注文した過塩素酸アンモニウムは数カ月以内にイランに到着する見込みで、数百発分の弾道ミサイルの燃料となる可能性がある。関係者の1人によると、原料の一部はイエメンのフーシ派をはじめ、地域の複数の親イラン武装組織に送られる可能性が高い。

 イランは強い姿勢でトランプ政権と核開発を巡る協議を進める一方、域内の同盟勢力を強化し、軍事力を再構築したい考えだ。イランは兵器級に迫る濃縮ウランの備蓄を拡大し続けており、ミサイル計画の制限に関する交渉を拒否している。

 トランプ氏は4日に行ったロシアのウラジーミル・プーチン大統領との電話会談で、イランとの協議について話し合ったと述べた。4日のソーシャルメディアへの投稿で、「イランの核兵器に関する決断の時間は残り少ない」と記していた。

 関係者によると、イラン企業の「ピシュガマン・テジャラト・ラフィ・ノビン(Pishgaman Tejarat Rafi Novin)」は過去数カ月間で、香港の「ライオン・コモディティーズ・ホールディングス」にミサイル用原料を発注していた。

 ライオン・コモディティーズのディレクターを務めるネルソン・バーバ氏にコメントを求めたが、回答は得られなかった。ピシュガマンには接触することができなかった。

 イランの国連代表部にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

 中国外務省の報道官は、政府はこの契約について把握しないとし、「中国側は常に、自国の輸出管理法と国際的な義務に従い、デュアルユース(軍民両用)品目を厳格に管理している」と述べた。

 イスラエルがレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラと、ガザのイスラム組織ハマスを攻撃し、シリアのアサド政権も崩壊した後、イランはいわゆる「抵抗の枢軸」と呼ばれる民兵組織のネットワークを再構築しようとしている。米国とイスラエルによるフーシ派への攻撃で同組織の能力は低下したが、フーシ派は依然としてイスラエルを脅かし続けている。