アジェイ・バット氏は、1981年にインドを離れ、大学院の学位取得のためにニューヨーク市立大学に向かうまで、飛行機に乗ったことがなかった。それから40年以上の歳月を経て、バット氏は130件もの特許を取得したが、同氏の発明の中で最も有名な「ユニバーサル・シリアル・バス(USB)」は、パソコンと周辺機器をつなぐために何十億もの人々が今も利用している。バット氏は「父は私を行かせたくなかった」が、「ここは最高の教育を受けられる国で、誰もが歓迎してくれた」と振り返る。高度な技能を持つ移民は長年にわたり、世界で最もダイナミックな米経済を支える陰の立役者となってきた。研究によると、移民はイノベーションの成果や起業家精神において、その数に比してはるかに大きな貢献をしている。ハーバード・ビジネス・スクールのシャイ・バーンスタイン氏と4人の共著者による2022年の研究によれば、1990年から2016年にかけて米国の特許の23%は移民が取得したものだ。別の研究によると、移民は米国の10億ドル(約1440億円)規模の新興企業の半数以上を設立または共同設立した。エヌビディア、アルファベット、テスラのいずれの企業でも、移民は共同設立者であるか、初期に主要な役割を果たした。
米「発明家輩出」の伝統崩壊か、トランプ氏の留学生制限で
学生として渡米した移民、USBポートなど多くのイノベーションを創出
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