勝間 和代 著 1500円(税別) |
知的生産術といえば、梅棹忠夫氏『知的生産の技術』、野口悠紀雄氏『「超」整理法』、立花隆氏『知のソフトウェア』など様々な名著がありましたが、インターネットやITが発達してきた現在、このような名著はITの記述がほとんどなく、物足りなくなってきたのも事実です。
そんな中、2007年1月に経済評論家として独立後、『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』『お金は銀行に預けるな』『決算書の暗号を解け!』などのヒットを飛ばしてきた著者が知的生産の技術を書き下ろしたのが本書です。
本書にある知的生産の技術が本当に役立つかどうかは、著者の様々な実績を見れば明らかでしょう。特にここ1年だけでも、1万部売れればヒットといわれるビジネス書において、10万部以上のヒットを様々な分野で何作も出していることが、中身の信憑性を高めます。
例えば、著者の生産性への素朴な疑問として、「なぜ、1年間に濃い内容の本が何冊も出せるのか」「なぜ、金融、自己研鑽など、様々な分野にわたっているにもかかわらず、すべての本がことごとくヒットするのか」ということは、読者だけでなく、編集関係者も、あるいはより幅広く知的生産に関わっているビジネスパーソン全体が知りたいと思っているはずです。
そして、この本にはまさしくその答えがあるのです。読者の知的生産性、特に情報のインプット&アウトプットの方法を飛躍的に上げる技術を惜しげもなく披露する内容になっています。
もちろん、著者も本書で、初めからこのような高い生産性が実現できたわけではないと白状しています。しかし大事なのは、著者が試行錯誤の結果、どうやったら高い生産性を確保できるのか、様々な実験を自らの支出や経験で行い、かつ、マッキンゼー、JPモルガンといった先進的なノウハウが詰まった企業からの教えを受けたものが本書に結実していることなのです。
特に、著者は3児の母でもあり、政府の男女共同参画会議の専門委員も務めていることから、そのライフワークとして、「ワークライフバランスを整え、少子化を解消すること」をすべての著作に対する軸として掲げています。