「イラスト専攻」を新設する
美大や美術系専門学校が増えている
しかし一方で、「それで本当に食べていけるの?」「安定しないのでは?」といった不安を抱く親世代は少なくありません。現に、多くの親にとって「イラスト」はあくまで趣味や特技の延長線上にあり、職業としての実態は見えづらいものです。
こういったクリエイティブ職を輩出する教育機関といえば、美術系の専門学校や美術大学(以下、美大)が挙げられます。近年では、大学でも専門学校でも“イラストレーション専攻”が新設されるなど、教育機関側でもイラストレーターという職業の市民権が確立されつつあります。
誰もが名乗ったら始められる「イラストレーター」という職業とは、どのような仕事であり、美術教育はどのような価値があるのでしょうか。

今回の記事では、中国出身で現在日本を中心に活躍している人気イラストレーターのRellaさんと、日本のポップカルチャーや「二次元表現」にも精通する美術評論家の沓名美和さんによる対談を通して、イラストレーターという職業の“理想と現実”を掘り下げていきます。
実はこの二人、中国の名門校・清華大学美術学院にルーツを持つという共通点も。教育者と実践者、それぞれの視点から語られる本音の会話は、これから子どもの進路を考える親たちにとっても、大いにヒントとなるはずです。
若手人気イラストレーターは、
名門美大で何を学んだ?
──Rellaさんと沓名さんは、年次は違うものの同じ中国の清華大学美術学院出身ですね。沓名さんは日本でも多摩美術大学を卒業されていますが、美大ってどんなところなんでしょうか?
沓名:私は1980年代生まれですが、私たちの世代では、「アートを目指す=一般的なキャリアから外れる」という印象がありました。でも今は違う。Rellaさんのような美大出身の人気イラストレーターの存在が、時代を変えてるなと思います。