頭の悪いリーダーは「一度決めたことを貫き通す」。じゃあ、頭のいいリーダーはどうするか。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。
コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。
『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

頭の悪いリーダーは「一度決めたことを貫き通す」。じゃあ、頭のいいリーダーは?Photo: Adobe Stock

やり遂げるか、変わり続けるか

 一度決めたことをやり遂げるか。

 それとも、朝令暮改で変わり続けるか。

 リーダーはつねにその間で揺れ動いているでしょう。

 もちろん、変わらないほうがいいものはあります。
 それはビジョンのような大きな判断軸の部分です。

 ただ、それを実現させるためには、「それ以外のところは変わり続けたほうがいい」という「ゆるさ」が必要になります。

 まさにそれが、「ゆるストイックに生きる」ということなのです。

意思決定がうまい人は「朝令暮改」

「ストイック」というと、一度決めたことを貫き通す姿勢を思い浮かべがちです。

 しかし、実は、状況に応じて自分の決断をコロコロと柔軟に変えていく「ゆるさ」も、正しい意思決定を行う上で非常に重要です。

 この姿勢が、変化する環境に対応しながら最適な選択をし続けるためのカギとなるのです。

 たとえば、未来予測をするコンテストの実験では、最も高い精度で未来を予測できたグループにある特徴がありました。

 それは、「意思決定を最も頻繁に変更していた」ということです。

 逆に、意思決定をほとんど変えなかったグループは予測精度が低く、柔軟さのない一貫性がむしろ足かせになっていたのです。

 つまり、頭の悪いリーダーほど、「一度決めたことを貫き通す」ということに固執していたのです。

「修正」を躊躇しない

 この結果は、私たちの直感と異なるものではないでしょうか。
 一貫性を保つ姿勢は、周囲から信頼されやすいものです。

 しかし、それは間違いなのです

 状況を正しく判断し、適切な行動を選び続けるためには、むしろ「朝令暮改」の態度が効果的であると言えます。

 変化に適応し、時には決断を修正することをためらわない。
 それが頭のいいリーダーの姿勢です

「ストイックさ」と「柔軟さ」を併せ持つことで、自分にとって本当に必要な決断を積み重ね、ゆるストイックを持続していきましょう。

佐藤航陽(さとう・かつあき)
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)を上梓した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86 をスタートさせた。