頭の悪い人は「100%の完璧」を目指す。じゃあ、頭のいい人はどうするか。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。
コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。
『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

本当に価値ある仕事をするために
あなたは、つい同じことばかりを続けてしまいがちではないでしょうか。
日々、新しい技術が登場します。そうすると、腰を落ち着けて、新しい知識を学び続けなくてはなりません。
ただ、昨今は何かにじっくり取り組むことがしにくい。
私自身、昔は自分の専門分野であるインターネット業界においても、目まぐるしい技術の進化についていくのがやっとでした。
しかし、「本当に価値ある仕事ができていない」と感じ、不要な価値観を捨て、真に必要な知識を身に付けるべく、自らを見つめ直しました。
気がつけば、腰を落ち着けて新しい技術を身につけ、「仮想現実」と「宇宙開発」という、まったく異なる分野の新たな専門家になることができました。
そのときのスタイルこそ、「ゆるストイック」なのです。
80%の完成度を目指す
完璧を求めすぎると、挑戦する意欲が減ります。
そして、行動を起こすハードルが高くなるものです。
「ゆるストイック」を実践するためには、完璧主義を手放すことが求められます。しかし、頭の悪い人は完璧主義を捨てられません。
感覚的にいうと、80%の完成度で満足する「80%ルール」を取り入れることがカギです。
このアプローチにより、学習効率が最大化され、よりスムーズに次の成長段階に進むことが可能になります。
学びには、「学習曲線」と呼ばれるグラフがあり、これを理解すると、80%で満足することの効果が見えてきます。
学び始めた初期には知識やスキルが急速に増え、短期間で大きな進歩が感じられます。
これにより基礎的な部分はしっかり身につき、全体の50~60%を短期間でカバーできます。
しかし、理解が進むにつれ、学びの速度は次第にゆるやかになり、知識を得るために費やす時間と労力が増えていきます。
そこで、80%の完成度に到達した段階で次に進むことで、さらに幅広い知識やスキルの習得が可能になり、成長を加速できます。
一方、80%を超えて100%の完成度を目指すと、学びのコストが非常に高くなるのに、得られる成果が少なくなるため、燃え尽きやすくなります。
「ゆるさ」を取り入れよう
80%で満足することには、自己成長のサイクルを速め、次のステップにスムーズに進めるという利点があります。
この方法はまた、完璧主義による自己批判や、失敗への恐怖を軽減し、ポジティブな挑戦を後押ししてくれます。
さらに、多様な分野で80%の理解を達成することで、それぞれの知識を組み合わせた新しい独自性を築くことにもつながります。
日々、やるべきことにストイックに向き合いながらも、この「ゆるさ」を取り入れると、いいバランスになるでしょう。
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)は早くも7万部を突破している。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86 をスタートさせた。