中国は自国のレアアース（希土類）企業に対し、技術的知見を持つ従業員のリストを政府に提出するよう指示した。外国への機密情報の漏えいを防ぐのが狙いだ。こうした動きは、自動車や電子機器、兵器などに広く使用され、米中貿易摩擦の争点であるレアアースを巡る中国の支配力が地政学的な重要性を増していることを示す。事情に詳しい複数の関係者によると、中国商務省はこのところ中国国内を拠点とするレアアース企業に対し、専門家の具体的な専門分野、学歴、研究歴、個人情報などをまとめた従業員のリストを要求した。目的は中国人のレアアース専門家についての正式な名簿を作成し、行動を監視して海外渡航や機密情報の漏えいを防ぐことだ。レアアースの加工といった川上部門に携わる従業員と、加工した鉱物でレアアース磁石を製造する川下部門の従業員が対象となる。