2027年のNHK大河ドラマ『逆賊の幕臣』で主人公となる、江戸幕府の高級官僚・小栗上野介。幕末、欧米列強に対抗できる国をつくるには、何を変え、何を守るべきなのか。小栗をはじめ幕臣たちの間では、その答えが分かれていた。だが、一見すると正反対の立場にあった勝海舟と小栗には、意外な共通点があった。※本稿は、歴史学者の一坂太郎『小栗上野介 忘れられた幕末の異才』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。
小栗が勝海舟に幕府の
極秘構想を明かした意図は?
勝海舟 Photo:SANKEI
勝海舟は慶応2年(1866)5月28日、軍艦奉行に再任されて大坂出張を命じられる。海舟が明治になって編纂した『開国起原V』(注1)には江戸を発つ前、小栗忠順(上野介)その他2名からひそかに次のような重要な構想を聞かされたとある。ひとまず引用する。
「君(海舟)、今坂地(大坂)より降命あり、必要路の議に預らむ。知るが如く、方今(現在)危急の際なり。政府(幕府)、仏郎西に托して、金幣若干、軍艦幾隻を求む。到着次第、一時に長を追討すべく、薩もまた、其時宜に応じ、是を討ん。然して後、邦内にまた口を容るゝ大諸侯なし。更に其勢に乗じ、悉く諸侯を削小して、郡県の制に改めんとす。是最秘密の議、既に大凡決定せり。君、定て同意を表するならん。若然らんには、猶上坂して説く所あるべき也、と」
要するに幕府はフランスから資金を借り、軍艦を購入し、まずは長州藩を、次に薩摩藩を討つ。そうなれば、幕府に物申すような大名はいなくなる。その勢いですべての大名の力を削ぎ、「郡県制」に改めるのだと言う。
注1 『勝海舟全集』第19巻、講談社、1975年







