ヤマハの職人「サウンドマイスター」をご存じか
ヤマハには「サウンドマイスター」と呼ばれる、音づくりの職人がいる。
音を、測定器だけでなく耳と磨き抜かれた感性で捉え、「ヤマハらしい音」に仕上げていく重要な役割だ。ショパン国際ピアノコンクールに出すピアノを仕上げる調律師のように、あるいは長年修行を積んだ“名人”と呼ばれる寿司職人のように、彼らは「聴こえる音」ではなく「伝わる音」を追求し、製品に反映する音づくりの“職人”である。
楽器の音をつくってきたヤマハだからこそ、「耳で仕上げる」思想がオーディオにも受け継がれているのだ。
この“サウンドマイスター”の存在を教えてくれたのは、三菱アウトランダーの開発者だった。新型アウトランダーのインタビューの際に、彼らがクルマの魅力の一つとして挙げたのが「ヤマハと共同開発した高級オーディオ」だった。
楽器はもちろん、音響機器で有名なヤマハだが、車載オーディオのイメージは正直あまりない。
「ヤマハがカーステレオ(死語)ですか……?あまりイメージがないなぁ」
「今回は、ウチとヤマハさんががっぷり四つに組んで共同開発したんです。なにしろ“あの”ヤマハさんですからね、レベルは非常に高い。そうそう。ヤマハさんには“サウンドマイスター”という専門職があるんですよ。彼らが音づくりの仕上げをしていくのですが、それがまた異常にマニアックな人の集団で、僕らが『これでいい』と言っても、『いや、まだダメです。もっと良くなるはずです』なんて言って……(苦笑)」
車内音響に、楽器メーカーの音づくり専門家集団が磨き抜かれた職人の感性を注入しているのだという。
ヤマハはどこまで本気でクルマの音と向き合っているのか。
サウンドマイスターとは、いかなる人種なのか。
「俄然興味が湧いてきた。ぜひお話を伺いたい」インタビューに同席していた三菱自動車の広報担当者にそうお願いすると、話はトントン拍子で進んでいった。かくして今回の“三菱+ヤマハ”の共同インタビューと相成ったのである。
・ヤマハ音響事業本部 本陣一宏さん(営業部)
・ヤマハコーポレートコミュニケーション部 佐藤歩さん(広報)
・三菱自動車工業第二車両技術開発本部 秋葉一臣さん
・三菱自動車工業商品戦略本部 矢口信之さん
・三菱自動車工業第二車両技術開発本部 賀来馨さん
・三菱自動車工業広報部 田中直哉さん

今回インタビューに同席いただいたのは、この7人。このうち、疋田智一さんこそが、アウトランダーPHEVのカーオーディオを仕上げた「サウンドマイスター」である。