
米消費者向け商品メーカーは品ぞろえを拡充している。その方法は少量化だ。
店舗にはパッケージの小さい菓子や飲料が並ぶ。予算の限られた消費者に購買を続けてもらうため、メーカー各社が低価格の選択肢を提供しているためだ。ペプシコのポテトチップス「レイズ」には容量が6種類あり、価格もおよそ0.5~5ドルと幅がある。キャンベルスープは極小パッケージ入りのクッキー「ペパリッジファーム」やクラッカー「ゴールドフィッシュ」を販売している。モンデリーズ・インターナショナルの板チョコ「ミルカ」はサイズが6種類で、価格は1ドル未満~6ドルだ。
食品・飲料・消費財などのメーカーはここ数四半期の販売量が伸び悩んでおり、少量化で全体の販売量を増やしたいと考えている。少量化された商品は利益率も高い傾向がある。
「消費者は予算内にうまく収めるため、小さいパッケージを選んでいる」。モンデリーズのルカ・ザラメッラ最高財務責任者(CFO)はこう述べた。「特にスナック菓子は、6ドルや7ドルではなく3ドルや4ドルが明らかに売れ筋になりつつある」
各社はこれまでも、クッキーやスナック菓子などの包装を用途に合わせて変更してきた。外出用、昼食用、カロリー制限、価格の手頃さなど目的はさまざまだ。だが、新興国市場で長らく重視されてきた手頃さが、最近は米国でも重要になっている。EYのグローバル・米州消費財セクターグループ責任者ロブ・ホルストン氏はこう指摘する。
米国のインフレは落ち着いたものの、一部の食品価格は依然として極めて高水準にある。消費者は、掘り出し物を探す、購入点数を減らす、買い出しの頻度を減らす、プライベートブランドに切り替えるなどして支出を抑えようとしている。一方、企業は複数の容量と価格を提供することで、顧客の開拓とつなぎ止めを図っている。
「(消費者の)定番品になるよう、購買力に着目している。いったん定着すれば、懐具合が良くなった時に大容量入りを買ってくれるかもしれない」。ホルストン氏はこう述べた。「価格のせいで本来の(容量の)商品に手が出ない消費者がいたとしても、その消費者を逃したわけではない」