
ドナルド・トランプ米大統領は9日、ブラジル政府に宛てた書簡で、同国からの輸入品に50%の関税を課すと発表した。関税の導入は8月1日からで、ジャイル・ボルソナロ前大統領や米国のテック企業に対する法的措置をその根拠としている。
トランプ氏は今週に入り、各国首脳に関税率を通知する書簡を相次いで送付しているが、50%の関税はその中で最も高水準の税率となる。各国への書簡は、いわゆる相互関税の発動期限が8月1日に延期された後に送付された。相互関税は4月から一時停止されていたものの、当初は7月9日から発効する予定だった。
トランプ氏はこれに加え、各国から輸入される銅にも8月1日から50%の関税を課すとソーシャルメディア上で発表。銅の重要性を強調する国家安全保障に関する報告書を受け取ったことにも触れた。
長年にわたりトランプ氏と近い関係にある右派指導者のボルソナロ氏は、ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領の現政権に対するクーデター未遂の疑いで裁判を受けている。トランプ氏はこの裁判に関しても、関税に関する書簡で強く批判した。
トランプ氏はトゥルース・ソーシャルに投稿した書簡で、「在任中、米国を含めて世界中から広く尊敬を集めた指導者であるボルソナロ前大統領に対するブラジルの対応は、国際的な恥辱だ」と述べた。
トランプ氏は7日にもボルソナロ氏を支持する長文メッセージを投稿。保守派のボルソナロ氏に対するブラジルでの刑事裁判は、政治的動機に基づいてブラジル最高裁が行っている魔女狩りだとし、自身に向けられた法的措置とも類似点があると指摘した。
そのうえで「これは政敵に対する攻撃以外の何ものでもない。わたしはよく知っている、ボルソナロ氏を放っておけ!」と記した。
ボルソナロ氏は昨年11月、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、トランプ氏が現政権に経済制裁を科すことで、自身の政権復帰を支援してくれることを期待していると語っていた。ボルソナロ氏は2030年まで公職に就くことができない選挙資格停止処分を受けている。