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米国のホテル経営者は外国人観光客の減少や国内観光客の旅行計画縮小に頭を抱えている。だがニューヨーク市だけは話が違う。
ニューヨーク市には昨年、過去最高に近い6400万人が訪れた。同市の主要観光名所の多くは今年、昨年の実績を上回る盛況ぶりとなっている。ブロードウェーの観客数は少なくとも2019年以来の高水準に達しているほか、5番街のグッゲンハイム美術館など美術館の来場者数も増えている。観光名所のタイムズスクエアを6月に通過した人は700万人を超え、前年同月比で6%増加した。
ニューヨーク市の都市計画局によると、同市のホテル客室販売の約5分の1を占めるビジネス需要は今年、昨年を上回る見通しとなっている。
不動産投資会社コーヘン&スティアーズの上級アナリスト、ゲイブ・バークル氏は「全体的な需要という点では、全米の中でニューヨークは極めて堅調」とし、「ニューヨークは国内観光とビジネス需要の恩恵を受けて、引き続き好調が目立つ」と述べた。
ニューヨーク市観光局は5月、2025年は国内からの旅行者数が5200万人、外国からの旅行者数が約1200万人になるとの見通しを示した。この内訳と合計はいずれも昨年とほぼ同じ水準となる。
制度上の変更もニューヨークのホテル経営者に有利に働いている。2023年に新たな宿泊施設の建設を制限する法律が施行され、新規供給が大幅に抑えられた。