関税不正を防げ トランプ政権の知られざる闘いIllustration: Cam Pollack/WSJ; Bloomberg News, EPA/Shutterstock

 発端はドナルド・トランプ米大統領が広範な関税を発表したことだった。次に起きたのは不正行為だと弁護士は言う。

 貿易問題を扱う弁護士の話では、関税が急激に高くなるにつれて、関税を支払いたくないという欲求も急激に強まっている。彼らの元には、合法的な抜け穴と不正の境界線について顧客から問い合わせが殺到している。

 それと同時に、米司法省はホワイトカラーの優先事項を変更して関税および税関関連の事件をより積極的に追うようになっており、貿易関連の取り締まり強化のために完璧な環境を生み出している。また、弁護士によると、不正疑惑について自ら提訴しようとする公益通報者からの電話が急増している。

 法律事務所ギブソン・ダンのパートナー、ジェイク・M・シールズ氏は「幅広い業界で関税回避策を見いだそうとする意欲が高まっている」と述べた。「多くの業界は極めて合法的にそれをし、その他は境界線に近い、あるいは境界線を踏み越える行動を取り、司法省とトラブルになるかもしれない」

 輸入業者が違法に関税を回避しようとする方法は幾つかある。例えば、業者はナイトスタンド(ナイトテーブル)をリビング用家具だと主張するなど、商品を異なる分類にする場合がある。また、100ドル(約1万4800円)のものをわずか10ドルだと主張するなど、商品の価値を偽る場合があるほか、関税の支払いを少なくするため、商品をどの国から仕入れたかをごまかす場合もある。