「この人、仕事ができるな」は、毎日のメールで決まる。「相手に間違ったニュアンスで伝わってしまう」「文面がこわいと言われるが、原因がわからない」「メールの返信に時間がかかりすぎて、1日が終わってしまう」。メール仕事には、意外と悩みがつきものです。本連載では、中川路亜紀著『新版 気のきいた短いメールが書ける本』(ダイヤモンド社)から編集・抜粋し、迷いがちなメールの悩みを解決するヒントをお届けします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

【メール敬語】「させていただく」を連発すると、“仕事ができない人”に見られる。その理由とは?Photo: Adobe Stock

「させていただく」は使っていい?

「(さ)せていただく」は「(さ)せてもらう」の謙譲表現です。「敬語の指針」は、次のような場合は、「(さ)せていただく」と表現してもおかしくないと書いています。

A 相手方や第三者の許可を受けて行うようなこと
B そのことで恩恵を自分が受けるという事実や気持ちがある場合

つまり、「(さ)せていただく」は正しい日本語だけれども、上のような意味があるので、なんでもかんでも「(さ)せていただく」と書いてよいわけでもないということです。よくつかう表現を点検してみましょう。

申し訳なさや感謝を表す場合も

上の用法のうち、Aは本来の意味なので、わかりやすいでしょう。

Bは、相手の許可の有無にかかわらず自分の都合で行う場合や、周囲の理解を得て行えるような状況の場合に用いられ、申し訳なさや感謝が表現されています。具体的な表現で適否を考えてみます。

○ 貴社のレポートを引用させていただきたく、ご連絡しました。
*Aの用法。

△ ご希望の資料を送らせていただきます。
*相手から要望されたものを送るのであれば、AにもBにも当たらない。へりくだりすぎの例。「ご希望の資料をお送りいたします」で十分。

○ 来月の頒布会のご案内を送らせていただきます。
*相手から要望されたわけではなく、自分の都合で送るので、Bに当たる。

○ 明日は休みをとらせていただきます。
*メールの相手が上司ならA、社外の人などならBに当たる。

× 企画書をまとめさせていただきましたので、ご覧ください。
*Bのつもりかもしれないが、企画書は「相手のために」と売り込むべきものなので、これでは弱腰すぎる。「企画書をまとめましたので、ご覧ください」がベター。

※本記事は『新版 気のきいた短いメールが書ける本』を一部抜粋・編集したものです。