ドナルド・トランプ米大統領がウクライナ向けに米国製地対空ミサイルシステム「パトリオット」の追加供与を決めたのは、正しい判断だった。ウクライナの対ロシアの戦いを支持する人々はこの決定を、米国の軍事支援でウクライナを支えるというホワイトハウスのコミットメントを示すものだと期待している。もしかしたらそうかもしれない。残念ながらトランプ氏は、外交的にも軍事的にも自身をウクライナ問題から解放することに、より関心があるように思われる。そして同氏の決断は、不十分な米軍事支出と兵器生産拡大に向けた米経済の対応力を巡る、より大きな懸念を浮き彫りにしている。ウクライナに関するトランプ氏の意図を楽観する人々は、次の3点を挙げる。パトリオット供与を承認するという彼の決断、ロシアが停戦を受け入れるために設けた50日以内という期限、停戦が実現しない場合にはロシアに対して関税と二次制裁を発動するという脅しだ。しかし、これらの点は必ずしもウクライナに対するトランプ氏の新たな支持を示しているわけではない。むしろ、トランプ氏が欧州のものだと見なすウクライナ・ロシア紛争に巻き込まれ続けることへの不満を強調している。