
人に親切にしては見返りを求めたり、細かい損得勘定をしたり……人間は、ついつい自分のことばかり考えてしまうもの。大人気YouTuberでもある大愚和尚は、本当の幸せを得るために気にするべきなのはそこではないと諭す。※本稿は、大愚元勝『絶望から一歩踏み出すことば 大愚和尚の答え 一問一答公式』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集したものです。
「贅沢三昧」できれば
幸せになれるのか?
たくさんのご家庭のお葬式や法事にかかわらせていただく中で、私はずいぶん勉強させていただいたと感じています。
ふと、気づかされたことがありました。そのご家族が幸せかどうかは、実はお金のあるなしには関係ないんです。
世界中で格差が拡大し、日本も貧富の差が大きくなっていると言われます。でも、お金がない人は不幸で、大金持ちほど幸せかといえば、違います。
金銭的に満たされているのに幸福感を得られない人も大勢います。贅沢三昧をしているから幸せかというと、必ずしもそうではない。
「三昧」とは、もともと仏教の言葉で「何かに完全にひたりきっている状態」を表します。言ってみれば、リラックスしているのに集中している「ゾーン」の境地。
ブレ、迷い、不安が一切なく、そのことに没頭できている感覚こそが三昧です。
いわゆる「贅沢三昧」は、没頭していないので本当の意味での三昧ではありません。
貧しい人が豊かになり始めれば、何もかもが新鮮で、贅沢は楽しいでしょう。
でも、大富豪になり、日常的に5つ星ホテルのスイートに泊まり、最高級の料理を楽しんでいたら、すべてが「普通」になってしまいます。もっと新しい贅沢を求めて宇宙旅行に行っても、慣れればそれで終わり。