見返りを求める心が
成功を遠ざけてしまう
「ダルマさん」と親しまれる達磨大師に、こんな逸話が残されています。優れた僧侶として名高い達磨大師がインドから南北朝時代の中国に渡ってきたとき、梁の皇帝である武帝が噂を聞きつけてさっそく招待しました。
武帝はお寺を造り、僧侶を育成し、自身も写経をするという熱心な仏教徒として知られていました。
「私はかように功徳を積んでいます。この功徳はどのように報われるのでしょう?」

武帝がこう質問すると、達磨大師はきっぱり一言、「無功徳」と答えました。
つまり、「これをやれば覚りを開ける、素晴らしい世界に生まれ変われる」という見返りを求めているなら、どんなことをしても功徳にはならないという意味です。
親切や良い行いをしながら、「ありがとう」と感謝されたい、「いい人だな」と好かれたいなど、どこかで見返りを求めてしまうのはよくあること。ビジネスには損得勘定も必要ですし、「感謝されたい」という自然な欲求は悪いことではありません。
でも、勝負をかけるような人生の転機であっても、神仏の前で小さく保身に走ろうとする社長に、良い結果が訪れるはずはありません。
リスクを取る覚悟で、捨てなければ得られないこともあるんです。