「本当にそれで大丈夫?」「こうしたほうがいいんじゃない?」そんなふうに言われてしまうことはありませんか?「なぜいつも、干渉されるんだろう……」と悩んだとき、私たちはどうすればいいのでしょうか?
累計20万部を超えるベストセラー著者、林健太郎氏が執筆した『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「いい距離感」を保つコミュニケーション術』から「しんどい相手」が「心地よい人」に変わる、いい距離感を保つためのコミュニケーションを本記事で紹介します。

「わからない」不安が干渉を引き起こす
上司や親など立場が上だったり、経験が豊富だったりすると、「私のほうが知っている」と思いがちです。
そこには、「正しいことを言わなくてはいけない」というプレッシャーが常につきまといます。
裏を返すと、「立場が上なのにわからない」状況をつくってはいけないプレッシャーがあるということ。
そのため、なるべく「わからない」という状態を避けようとするのですが、それでもときに「わからない」に遭遇することがあります。そんなとき、強い不安を感じるわけです。
そのため、干渉する人は「教えてやるぞ」という強気な気持ちより、むしろ相手の行動・態度・思考が読めないことによる、「わからない」不安を解消したい気持ちが勝っています。
こういった瞬間の干渉する人は、相手の状態にきわめて敏感です。
例えば、自分が話している間に相手の視線がふっと泳いだのを感じ取り、「何かに気を取られたの?」と不安を抱くことが起きがちです。
そして、相手の些細な態度の変化をきっかけに、「自分の話には興味がないのか」とますます不安な気持ちが湧き上がります。
そして、その強い不安を払拭したいという衝動から、「私の話、聞いている!?」と強い口調で言ってしまうのです。
とても残念な話ではありますが、こういう局面では、相手のことを思う気持ちよりも、自分の不安を解消したいという欲求が優先されてしまいます。
あるいは、もっと明確な不安が起こることもあります。「放っておくと、こっちが迷惑しそう」というときです。
例えば居酒屋での「夫婦飲み」中に、夫の袖が醤油の小皿に触れそうになっていたら「洗濯がたいへんなんだけど!」という嫌な未来が浮かび、こんな干渉をしてしまいます。
「あなたいつも、そうやって袖を汚すわよね。洗濯するのこっちなんだけど。いい加減、そういうの覚えてくれないと困るのよ、子どもじゃないんだから。何度言わせるのよ、ほんとに」
ここには、自分が洗濯をしなくてはいけないという煩わしさ、あるいは、やることが増えるのではないかという不安が介在しています。
しかし、もし不安を解消したいのなら、強く出るよりも「聞く」が有効です。
相手が上の空なら、「どうしたの、何か考えごと?」と聞けばいいし、夫の袖に醤油がつきそうなら、「袖、大丈夫?」と穏やかに聞けばいいのです。
(本記事は『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「いい距離感」を保つコミュニケーション術』から一部を抜粋・編集して掲載しています)