社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

持って生まれた「強みの種」に、まず気づく
前項で、「本当の自分」とは、持って生まれた「強み」が最大限に発揮された状態を指す、と書きました。
わかりやすくそう書きましたが、実は説明がやや大雑把です。
正確に言うと、強みは持って生まれるものではありません。
持って生まれるのは「強みの種」です。
強みの種からどのような「強みの花」が咲くかは、どう生きていくかで変わります。下手したら、何も咲かずに終わることもあります。強みの花を咲かせるには、まず強みの種に刺激を与えて、発芽させるところから始まります。
「強みの種」の声を聴くには?
強みの種は自分の奥深くに埋まっているので、簡単には見えません。こう聞くと、見つけられないのではないかと不安になるかもしれませんが、安心してください。強みの種は、芽を出したくてウズウズしているので、さりげなく存在をアピールします。
例えば、幼い子どもは、大人に教えられる前から自然と特定の遊びや活動に夢中になりますよね。ある子は積み木を延々と組み立て、ある子は絵を描き続け、ある子は友達と遊ぶことに熱中します。その子が何に夢中になるかは、親の好みと違うことも多いです。きょうだいで夢中になるものが違うこともよくあります。その子が本来持っている強みの種が自然と表れているのです。
大人になっても強みの種は存在をアピールします。
「仕事とは無関係なのに、知識をつけたいと思う」「これまで全然縁がなかったのに、なぜか心惹かれる」といった形で、私たちに語りかけてきます。
強みの種がない分野のことは、たとえ上手にやることができたとしても面白いと感じられません。これも強みの種のアピールの1つです。
つまり強みの種は、社会から一般的に評価されるわかりやすい「スキル」ではありません。例えば、以下のような形で存在をアピールします。
・自分には簡単にできることなのに、周囲の人に「すごいね」と言われる
・時間を忘れて夢中になる
・失敗しても「また挑戦したい!」と思える
・辛くても「でも、やっぱりやりたい」と感じる
・やっていると心が躍る
・誰かに教えたくなる
・「もっとうまくできるはず」とワクワクする
上記のような経験がないか、自問自答してみてください。
逆に、自分の中に強みの種が全くない分野は、どんなにその世界に触れて知識を詰め込もうとしても、興味を持つことができず、記憶に残らず、流れ出てしまいます。取り組むこと自体が苦痛でたまりません。
一方、強みの種がある分野は、初めて触れたときからすぐに馴染むことができたり、そのときは馴染めなくてももう一度挑戦したくなったり、知識をどんどん吸収することができたり、やっていて全く苦にならなかったりします。
*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。