社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

「やりたいこと」がないと、なぜ苦しいのか
ここまでで「やりたいこと」や「目標」を持つことにはメリットもデメリットもあり、特に「積上型」タイプの人にとって、無理に目標を持つことはデメリットのほうが大きいこともおわかりいただけたと思います。
とはいえ、第1章でも書いたように現実社会ではやりたいことや目標が見つからないのは苦しいですよね。
その苦しさの奥にあるのは、次のような本質的な悩みなのではないでしょうか。
1│評価されない「不安」
社会にはやりたいことを持って頑張る人が評価される空気があります。学校でも会社でも、やりたいことを見つけて目標を目指して努力する人が「できる人」として評価されます。こういった場所にいると、明確なやりたいことがなく、将来のキャリアプランを描けない自分は評価されないのではないか、と不安になります。
2│「生きる意味」を感じられない
やりたいことを持って邁進している人をみると、生きいきとしていて、まるで人生の意味をつかんでいるかに見えます。幼い頃から夢を持ち続け、それに向かって努力している人たちの人生は一遍の物語のようです。それに比べてやりたいことがない自分の人生には生きる意味がないのではないか。そんな気分になっていませんか?
3│毎日「充実感」を得られない
SNSには、「夢を追いかけている」「新しいことに挑戦している」という投稿が日々流れてきます。友人や同僚も、次々と新しい目標を見つけては達成しているように見えます。自分自身も早いところ目標を見つけて行動を開始しなければと思うものの、やりたいことが見つからないから、何をやっていいかわからない。
その結果、毎日を無為にすごしているようで充実感が得られなくなります。
4│進むべき「道」が見えない
人生には、就職、転職、起業、結婚、退職など様々な分岐点が訪れます。やりたいことがある人は、どんなタイミングでも確信をもって自分の進む道を決断しているように見えます。しかし、やりたいことがない人はどう決断したらよいのかも、どんな道を歩みたいのかもよくわからず、迷子のような気分になります。
やりたいことがない人は、日々、このような悩みを抱えてモヤモヤしているのではないでしょうか?
「やりたいこと」を見つけることが解決策ではない
でも、改めて考えてみてください。
「人生の意味がないように感じる」「毎日を無為に過ごしている」「道が見えない」……、こういった悩みの解決策は本当にやりたいことを見つけることでしょうか。前述した通り、積上型の人にとっては逆に迷路に踏み込むことになりかねません。
やりたいことを無理に見つけても、「これが本当のやりたいことなのだろうか?」と悩んだり、「目標は決まって何をすべきかわかっているのに、動き出せない」と辛かったり、「評価されるためにやりたいことを見つけたけど、やっていて楽しくない」と苦しかったりしたら、意味はないですよね。
どうすれば、やりたいことが見つからなくても、日々が充実して、自分の価値を感じられて、自分の軸に沿った判断ができ、自然に自分の進むべき「道」が見えてくるのでしょうか。
ここからの章では、そのための考え方や具体的方法をお伝えしたいと思います。
本書のチャートで「積上型」、「修行中の逆算型」に分類された人に向けたステップになります。
*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。