社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

今の仕事、結果は出てるのに、なぜか楽しくない――そこから抜け出すために最も大事なことPhoto: Adobe Stock

楽しくない=「本当の自分」を活かしていない可能性

どうすれば「やりたいこと」を無理に探さなくても、毎日が有意義になり、自分の生きる意味がわかって、進むべき道が見えてくるのでしょうか。

そのために最も大事なことは、私たちが本来持って生まれた「本当の自分」に気づき、それを活かして生きることです。

本当の自分とは、持って生まれた「強み」が最大限に発揮された状態を指します。

前述した通り、私のセッションのクライアントは「自分のやりたいことも、好きなこともわからない」と悩んでいる方が多いのですが、彼、彼女らに「あなたの強みはこれではないですか」とお伝えすると、「そういえば、前から興味を持っていました!」「言われてみれば、とても好きです!」という答えが返ってきます。

また「今やっていることは、いい結果は出ているけれど、なぜか楽しくない」という方のお話を聞くと、皆さん自分の強みとは違うことをやっています。自分の強みに沿ったことは心が求めていて、強みと違うことは楽しくないのです。

「好きなこと」や「価値観」と密接に結びつく「強み」

人は、本来の強みに沿わない活動を続けていると、不自然さや違和感を感じます。

物を作ることに強みをもつ人が単調な事務仕事を強いられると、どこかしっくりこない感覚をもちます。「今の仕事はやりたいことじゃない。でもやりたいこともわからない」という感覚は、強みを活かして、本当の自分を生きたいという欲求の表れです。

また、強みは、自分の価値観とも結びついています。

例えば、「すぐに行動できる」という強みがある人は「行動することに価値がある」と言います。この強みがない人は、無理して行動し、結果が出たとしても疲れ果ててしまって「もうやりたくない……」と思うため、「行動することに価値がある」という価値観に疑問を抱きます。

「1つのことを根気強く続けられる」という強みがある人は「石の上にも三年」と言います。しかし、この強みがない人は、無理して継続して結果が出たとしても、その間に我慢した他のやりたかったことを思い浮かべて残念な気持ちになるので、「石の上にも三年」と言われても、ピンときません。

自分の強みに沿った活動をすることは、自分が「価値がある」と思うことをやることにつながります。

価値があると思うことを続けると、理想の自分に向かう道が見えてきます。理想の自分に近づいていく道を進むことは人生の充実感につながります。

だからこそ、まずは自分が持っている強みに目を向けてみる。そして、それを大切に育てていくと、理想とする自分に近づくための道が見えてくる。

この道を歩むことが、「本当の自分を生きる」ということなのです。

*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。